「地方創生大全」備忘録

この本から学んだ事を備忘録したいと思います。

備忘録

◉2016年にNHKが内閣府が先進的と紹介する75の事業全てについて調査し、その結果目標を達成したのは28事業。実に全体の40%に満たない。
◉名言「カネがないからこそ知恵がでるんだ!」
◉以前あった地域振興券は総額の1/4から1/3ぐらいしか効果がないと言われている。プレミアム商品兼も同様ではないか。実際、プレミアム商品券で経済が大きく好転したという話は聞かない。
◉中心市街地活性化法も同様で、200以上の自治体で認定されたが、同法で中心市街地が大きく再生したという話は聞いた事がない。これは私見となるが、中心市街活性化法で無理して改築を行って、その借金で夜逃げしたという話を聞いた事があり、実際、中心市街活性化法はほぼ役立たなかったと思っている。
◉地方創生政策における問題点は、過去に失敗した事業を名前を変えて再実行してしまう事。最たる例は地域振興券→プレミアム商品券。
◉B級グルメは加工などで僅かな付加価値をつけるのがやっとで、廉価品しかつくれず、地域経済に対して大きな波及効果期待できない。
◉道の駅は初期投資を回収するのは難しく、さらに運営費用に税金が垂れ流しされる赤字経営ばかり。
◉人口増加させるという事は、その人たちを食べさせる産業を生み出すという事。
◉イベントは集客人数が大切なのではなく、観光消費の単価が重要。
◉事業評価は、自治体と民間(第三セクター)の連結決算で評価すべき。
◉失敗しない事を優先する組織の中では、「地方を再生する」という中長期的な視野に立ってリスクをとることは、「馬鹿な行い」となってしまう。

「何に取り組むか」を正しく決める

失敗が多い取り組み
  1. ゆるキャラ
  2. 御当地特産品
  3. 地域ブランド
  4. プレミアム商品券
  5. ビジネスコンペ
  6. 官製成功事例

◉よく先進地視察(2時間程度)して、成功事例だからといって真似をする。これは自動車工場を2時間見学して、自宅に帰って車を作れるか?という事。たったそれだけの時間で成功する事はない。ここから先は私見となりますが、数ヶ月議員をやって理解しました。先進事例=成功事例として紹介されてますが、あくまで先進事例であって、成功しているとは限らない。例えば、誰もやっていない事業で、転入が増えたとして、成功事例として取り上げられます。実際その転入を調べてみると、増加はほんの僅かで成功事例とはとても呼べません。また民間企業が中間に絡む事業で、企業の収益のために成功事例として取り上げられるものも多々あります。特にDX関連は確かに便利にはなっているのが多数ですが、コストと見合わないものが多々あります。
◉経済効果を評価する際に、大抵は増加した分だけを計上して経済効果を謳う。しかしある事業を行えば、プラスの効果もあればマイナスの効果もある。たとえば、酒店で新しいお酒を目立つところに陳列して、その売上が100万円になったとします。しかし今まで目立つところにあった商品が、隅っこに追いやられたり、もしくは撤去されたりして、実際はマイナスの効果も発生しているはずです。経済効果を語るには、プラスとマイナスを合算して評価すべきです。
◉ビジネスコンペが成功するのは難しい。理由は、①プラン立案の段階で周囲がダメ出し合戦を行い実行に至らない事がある。②プランを適正に審査する人材がいない。そもそもビジネスプランを持つ人はコンペに参加せずに自分で事業を立ち上げる。
◉先進事例イコール成功事例ではないのだが、先進事例をあたかも成功事例のように紹介する事が多いため、多くの自治体が真似をする。結果として成功事例ではないので、失敗する。

成功していない先進事例を見極める手段
  1. 資金源が補助金ばかりで、投資や融資が行われていない。つまり投資や融資が行われないという事は民間のチェック機能が働いてないという事。
  2. 事業が黒字などの成果を上げているか。
  3. 5年以上成果を上げているか。
  4. 宣伝者がストーリーだけでなく、数値的な宣伝を行っているか。
  5. 現地に赴き観察し、訪問前の印象と訪問後の印象に変わりがないか。

◉地方活性化はお金ができないからできないのではなく、知恵がないからできないのである。採算性がある事業は民間がお金を出してくれるから成立する。
◉第三セクターの事業体のうち40%は赤字経営となっているのが実態。黒字となっている事業体でも行政から支援を受けての黒字が大半。
◉プロセス一流、結果三流を改める。いくらプロセスが一流でも結果を残さなければ意味がない。
◉新たな取り組みや進め方を「非常識」で「不真面目」だとみなし、一方で「できない理由」を並べ立てることが現実主義者であるかのように勘違いをして発言をする人がいる。
◉自治体手動で施設を開発すると失敗する。

◉観光客数ではなく、観光消費を重視する。
◉バブル以降、旅行は団体旅行より個人旅行が主流となった。なので団体向けのサービスより個人向けのサービスを重視すべき。
◉観光協会が営業時間などを横並びで決めているために、各店の個性がなくなって、多様化するニーズに応えられていない。
◉10万人が1,000円を消費する商売ではなく、1,000人が10万円を使う商売に転換していく必要性があるのでは。

◉地方創生で必要なのはお金そのものではなく、お金を継続的に生み出す仕組み。補助金でお金を補って事業を行っても一過性で終わってしまう。

右肩上がりの時代なら、事前に計画も立てやすく、計画どおりいかなくても、結局、拡大する経済と財政のおかげで、事後的に問題は解決されました。「拡大する社会」では、いかに迅速に・正確に・真面目に供給するかというのが、計画の基本でした。需要は当たり前に増加するのですから、そこを考える必要はほとんどなかったのです。
役所が主導して基本計画を立て、しっかりルールに沿って乱開発を制限しながら都市整備する。それさえすれば、民間がビルを建てたり、店を開いたり、工場を建設したりしたわけです。ひとことで言えば、供給に需要が従う時代だったのです。
しかし縮小する社会においては、これが逆転しています。需要がそもそも先細るため、単にルールに沿って真面目に供給したとしても、需要と一致しません。恐ろしいのは、初期の計画で失敗すると、後に需要はますます細るので、ほぼ再生不能になってしまう点です。
だからこそ、最初に需要の確保を行い、その実需に沿って、実行する事業の規模を最適化するという、従来とは「まったく逆のプロセス」が計画論の基本になります。こうした「需給逆転」は、地方における社会構造の前提を大きく変えています。このような前提に立ち、計画のあり方を見直していく必要があるのです。

【計画主義が抱える3つの問題】
◉計画時が一番情報が少なく、そもそも正確な計画を立案する事は困難。
◉予算確保が目的となり、計画は建前となる。
◉合意を優先すると、未来は二のつ次となる。計画の内容の一部に反対があるにも関わらず、計画自体には賛成のため、玉虫色の計画が総意として実行されるようになる。

【ふるさと納税が地方衰退となる理由】
◉特産物の安売り…本来もっと高値で販売できる特産物が、ふるさと納税という形で都市部へ安価で流通し、本来得るべき利益が減少している。
◉地方産業がふるさと納税を通して多く販売する事は、販路を減少させる事となる。もしふるさと納税の制度の改変などあり急激なふるさと納税による売上減少が発生した場合、経営に支障をきたす事にもなりえる。商売で一部の取引先に依存する事はリスクで、取引先のメッシュ化が企業の持続可能性を高める。

【二宮尊徳から学ぶ事】
◉分度…収入に応じて支出を決め、黒字体質にする事。二宮尊徳は稼いでない資産から少しでも収入が得られるように徹底的に営業をした。
◉使いすぎの予算を削減して、収入に見合った規模に最適化させる。

【撤退戦略】
◉事業や施策の創設時に、その事業を中止する条件を予め決めておく。撤退戦略がないと①失敗した時の傷が深くなる、②撤退戦略が設定できない事業は、そもそも事業が失敗し易い。撤退条件は絶対に最初に決めておかなければならない。
◉コンサルに事業計画を立案させると撤退戦略を計画に盛り込む事は困難。それは失敗する計画をコンサルが提案できないから。この書籍ではコンサルへの丸投げをやめたほうがいいと言っている。使うとすれば必要な部分だけ。

◉事業に対してみんなが合意する=事業の成功 とはならない。合意形成には以下のような問題が生じる。

【誤った集団的意思決定】
◉グループシンクとは、集団浅慮とも呼ばれるもので、合意に至ろうとするプレッシャーから、集団において物事を多様な視点から批判的に評価する能力が欠落する傾向をいいます。チームの凝集性が高い場合、支配的なリーダーが存在する場合などに起きやすく、このような状況で下された集団意思決定は、チームビルディングを進めるにあたって不合理な結論や行動につながりやすいです。

◉グループシフト(集団傾向)は、同じ意見や考え方を持つ人物が議論することで、その方向や進め方がより極端になる現象です。具体的には、以下の2つがグループシフトに該当し、どちらも集団意思決定の精度を下げたり、メンバー全員の意見が正確に反映されなかったりする原因になります。①リスキーシフト…一人だと慎重かつ理性的な行動を取ることができる人物が、グループシンクによってよりリスクの高い意思決定に加担してしまう現象。②コーシャスシフト…一人だと大胆な行動を取ることができる人間が、グループシンクによってより慎重な方向の意思決定に加担してしまう現象

◉共有情報バイアスとは、集団は皆に共有されている情報に関する議論に多くの時間を費やし、共有されていない情報に関する議論には多くの時間を費やさない。

補助金があれば事業の成功率は高まると思っている、リスクを負わなくて済むならば、皆が事業に挑戦して成功すると思う
税金を使うからには、多額の利益を出してはいけないと思う補助金が少ないから地方は衰退していると思う
▶「稼ぐ→投資する→さらに稼ぐ→さらに投資する」の好循環をつくろう
計画立案では、地域内の論理を尊重しなくてはならないと思う心のなかでは「これは無理だ」と思って取り組んでいる
初の計画を変更してはいけないと考えている地域活性化における計画には、おカネの話ばかりを書いてはいけないと思う
最悪の事態を最初から考えるなんて緑起が悪いと思う
▶「最悪の事態」に陥っても対応できる体制を整えよう
返礼品競争で勝ち、ふるさと納税を増加させれば、地域は活性化すると思う
せっかく集まった税収は早く使ったほうが良いと思う
地域の商品は行政が主体となって営業すべきだと思う
■ ふるさと納税で地元産品が売れれば、企業の競争力が上がると思う
■試しに返礼品で食べてもらえれば、二度目は正規価格で買って
もらえるはずだと思う
▶「安売り合戦」を脱し、市場の適正価格で売ろう_赤字体質が恒常化している
もらうおカネのほうが、借りるおカネより地域事業にプラスだと思う
■地域の経費の見直しをしていない
「金融」のことがイマイチよくわからない
■貸借対照表・損益計算書などがわからない
▶「新たに稼ぐこと」と「経費を削ること」に徹底的にこだわろう

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