総務文教常任委員会行政視察レポート

はじめに
視察内容に目を通してもらう前に、まちづくりの専門家の考えを是非知って頂きたいので、この本の紹介をさせていただきます。
著者:木下斉
◯まちづくり専門家
◯内閣官房地域活性化伝道師
◯総務省地域力創造アドバイザー
◯内閣官房ふるさとづくり有識者会議委員
過激な請負人のノウハウを1冊に凝縮した、日本一まっとうなガイドブック。
(内容)
●ネタ:「何に取り組むか」を正しく決める
●モノ:使い倒して「儲け」を生み出す
●ヒト:「量」を補うより「効率」で勝負する
●カネ:官民合わせた「地域全体」を黒字化する
●組織:「個の力」を最大限に高める
この本の内容を一部紹介させていただきます
本物の成功と偽物の成功を見分ける「5つのポイント」
(1) 初期投資が交付金・補助金のような財政中心ではなく、投資・融資を活用しているか
(2) 取り組みの中核事業が、商品やサービスを通じて売上を立て、黒字決算となっているか
(3) 始まってから5年以上、継続的に成果を出せているか
(4) トップがきれいなストーリーだけでなく、数字について語っているか
(5) 現地に行ってみて1日定点観測して、自分の実感としても変化を感じるか
視察研修がほぼ意味がないと思っている著者の理由
2時間くらい現場を視察しただけで、自分の地域で再現して成功する確率なんて、正直「0%」です。素人が自動車工場を視察して、自宅に帰って車をつくれるかという話です。
県立和気閑谷高校の魅力化支援について(岡山県和気町)
※和気町の視察レポートはまだ作成途中です
まちの基本情報
◉人口:12,995人(R6年3月末)
◉65歳以上5,297人(高齢化率 40.76%)~
◉面積:144.21km
◉岡山県南東部にある自然豊かな田舎町
◉県南で穏やかな気候
◉地域特性から台風・地震等の災害が少ない
◉日本一の藤。種類が日本一。
◉藤まつり来場者56000人。
◉人口が毎年人口が200人減少。社会増減は少なく、ほぼ自然増減の影響で減っている。
◉有機農業に力を入れるために2024年にオーニックビレッジ宣言を行った。
和気閑谷高校

◉全国から生徒を募集しており、現在の最大枠は12名。今度から24名にする予定。
◉和気町は交通の便がいいので選べる高校が多い。逆を考えれば他の地域から来やすい環境にある。
◉和気閑谷高校は町内唯一の高校。定員120名。
◉上記のスライドを見ればわかるように、定員の120人を満たしていない。最後に定員を満たしたのは令和元年。

◉地域起こし企業人や外部専門家を配置して、進路実績の向上を図っている。つまり学力を差別化要因としている。
◉魅力化事業を町と学校だけではなく、商工会や商店会を交えて実施している。
◉予算はデジ田を活用している。



◉





◉普通科の協働探究科は企業インターンシップに出向いている。水曜日は地域に出ている。キャリア探究科は実社会と結びついた学習を行っているので、即戦力になりやすい。資格の勉強も行う。毎週水曜日に一日かけて校外学習を行っている。
◉山形では公立高校に行けたかった子供の受け皿が私立高校だが、岡山では別で、閑谷高校は私立高校に行けなかった子どもの受け皿になっている。
◉高校の存続が経済効果があるというデータがある。音声を聞いてどこか調べる
◉英語特区が差別化の要因になっていると推察される。
◉岡山県では地域おこし協力隊を延長の人件費を1年間負担してくれる仕組みがある
◉地域おこし協力隊が地元企業と学校を繋いでいる。具体的には地域おこし協力隊が企業で学生の受け入れの依頼や日程調整などを行っている。
◉地域おこし協力隊は学校常駐(閑谷学と探究学習)が1名、学校(閑谷学)と公営塾勤務が1名。合計2名。
◉探究学習の対象の事業所は100社ぐらい。希望があれば新しい事業者を開拓する。開拓は地域おこし協力隊が行う。
◉探究学習を通して高校生の自己表現力向上が発生した。理由は社会人との関わり増加と発表機会が増えたから。自己表現力向上が校長先生としては一番の成果と捉えている。
◉探究型の学習が総合入試(昔ではAO入試)に役立っていると推察している。国公立大学進学に役立っている。
◉地域に出ての活動をしたい(探究型学習)という理由で入学したとする生徒が存在する。

◉地域探求学習は今年で3年目。
◉全ての水曜日にインターンシップを行っているわけではなく、事前学習、事後学習で終わる水曜日もある。
◉インターンシップを行う事で、和気町へ就職が増えて、転出を抑える効果があるのではないか。

◉高校では資格取得を積極的に行っている。

◉公営塾は小中学生が対象だったが、今年から高校生までに拡大した。
◉小中学生と高校生との交流を行う事で、和気閑谷高校のプロモーションとなり、入学者を増やす効果を期待している。

◉現在はデジ田事業で実施している。
◉島根県が実施している地域みらい留学(https://c-mirai.jp/)に参画して全国募集を行っている。
◉当初は近隣市町村や兵庫県からの入学が多かったが、最近は大阪、東京など様々な地域から入学する生徒が増えてきた。

◉地方学習交流センター 過疎債をベースとしている。全域が過疎認定となった。




◉移住者にアンケートをとったら、教育環境が移住の理由となったものが多かった。







◉上記のような高校の活動様子を近隣の中学校に配布している。つまり中学生に対して閑谷高校のプロモーションとして使用している。
考察など
◉(質問)和気子ども応援事業の地域学校協働活動における教師業務アシスタントはボランティアか。有償の場合、人件費はいくらか?。⇒(返答)ボランティア。
和気町の高校魅力化事業は・・・・・・
まずこのページの冒頭で地方創生大全の「本物の成功と偽物の成功を見分ける5つのポイント」を紹介した。
(1) 初期投資が交付金・補助金のような財政中心ではなく、投資・融資を活用しているか
(2) 取り組みの中核事業が、商品やサービスを通じて売上を立て、黒字決算となっているか
(3) 始まってから5年以上、継続的に成果を出せているか
(4) トップがきれいなストーリーだけでなく、数字について語っているか
(5) 現地に行ってみて1日定点観測して、自分の実感としても変化を感じるか
記の定義が奈義町にどれだけ当てはまるか検証する。
(1)ー
(2)ー
(3)ー
(4)ー
(5)ー
以上の事から、和気町の取り組みは
考にすべき事/覚えおくべき事
【参考にすべきところ】
◉高校の広報を近隣の中学校に配布する事。
◉地域おこし協力隊の教育への活用。(塾など。教員免許がなければ教員としては使用不可)
【覚えているべき事】
◉
少子化対策(岡山県奈義町)

奈義町の概要

◉奈義町で一番特徴的なのは自衛隊の駐屯地が存在する事。人口が増えているように見える事と財政が豊かそうに見えるのも、自衛隊が存在するからだと思っていた。ただ実際は人口は減っており、更に財政も決して良くはなかった。
◉自衛隊隊員から生まれてくる子どもは数人レベルであり、合計特殊出生率が高いのは自衛隊のおかげではない。
◉自衛隊の存在でもらえる国の補助は5000万円程度。このお金は自由に使える。
◉自衛隊のおかげで奈義町は道路整備が進んでいる。
◉奈義町には鉄道がない。バスのみがある。
◉デマンド交通開始当初は2,000人の利用、今は8,000人の利用。
◉全域が過疎地域なので過疎債を活用している。一方高畠で過疎債が使えるのは二井宿と和田だけであり、高畠町は全域で過疎債が使えるわけではない。
◉小学校と中学校は1校。高校は存在しない。
◉2024年に消滅可能性自治体から脱した。
◉以前、子育て支援策を実行するために財源を1億円捻出した。その際に聖域のない改革を行った。具体的には委員報酬を削減、交付金カット、議員定数の減、職員数減、特別職の報酬削減など。
◉ふるさと納税は昨年までは2000〜3000万円程度だったが、今年は担当課を作って現時点で1億円を超えている。入ってきたお金は未来基金に一旦入る仕組みとなっている。
◉少子化対策の予算3億円の全てを一般財源で賄っている。


人口の推移


◉移動均衡というのは、社会増減ゼロの事。つまり転入数と転出数が同じになる事。この表を見てわかるように、奈義町のようにいくら合計特殊出生率が高くても、人口減の速度は変えられない。
◯グラフの赤線が社人の推計、青線は合計特殊出生率が2.3を維持した場合、黄色線が合計特殊出生率2.3を維持して更に社会増減をゼロとした場合。

◉令和元年に合計特殊出生率が2.95を叩き出し一躍成功事例として話題になった奈義町だが、3人近い合計特殊出生率を維持したとしても、未来は深刻な人口減少にささされる。
◉現在の出生率2.3人を維持したとしても、殆ど人口減のスピードは変わらない
◉奈義町担当課は、合計特殊出生率は上下するのであまり意味がないと捉えている。
◉「3人ぐらい産むのが普通だよね」という空気が奈義町に存在する。この空気を醸成するのが出生数増加につながると思われる。
まちへの想い〜私たちが、未来に残せるもの~
奈義町長 奥 正親
私たちが暮らしている今の奈義町の姿は、これまで先人などたくさんの人たちが町の明るい未来を思い、力を合せて脈々と築いてきたものです。
これから10年後の未来を少しだけ想像してみてください。
皆さんの家族、住んでいる地域、奈義町はどのようになっていて、どのような暮らしをしているのでしょうか。
今、奈義町の抱える最大の課題は、“人口減少”です。人口減少は、町の基礎を揺るがす深刻な課題です。
この大きな課題を克服し、未来へ奈義町をつなげるため、チャレンジをしなければなりません。
若者が定住し、子どもが生まれ、高齢者がいつまでも元気に活躍するまち
そして若者が思いっきり挑戦し、それを応援できるまち魅力あふれる子育て、教育のできるまち年をとっても、病気になっても安心して暮らせるまち人が人を呼ぶ憧れのまち
私たちは、そのような明るい未来のあるまちを次世代に引き継がなければなりません。
美しい環境を守り、優しさと思いやりで、将来にわたり誰もが暮らし易いまちを次世代に引き継ぐ。
そのためには、町民皆さんと心をつなぎ、町民参加のまちづくりが必要です。
今を生きる私たちは、未来の創造者です。
この奈義町で暮らすすべての人、そしてこれから生まれてくる子どもたちが、10年後も、20年後もその先も、幸せな笑顔で暮らしていけるように。
奈義町の明るい未来を一緒に創っていきましょう。
問題と課題

◉町の一般会計予算規模約50億円 うち子育て・教育支援単独事業費約3億円(一般会計に占める割合5~6%)。このお金に国からの補助金は含まれていない。つまり一般財源だけで3億円も投じている。

◉上記の内閣府のデータから理想の子どもの数と予定の子ども数に差異が生じる最大の原因は経済的な問題と捉えている。よって経済的な支援を打つことで出生数を増やす事ができるのではないかと想起して、奈義町は子育て支援策を実行した。
◉産前産後中にひどい思いをすると母親は2人目を産もうとは考えないので、産前産後のケアに力を入れれば出生数が改善するのではと奈義町は考えている。
◉地域とつながる、行政とつながる事が妊婦にとって安心感が高まる。安心感が高まる事で出生数が増えると奈義町は考えている。


◉「子育て応援宣言」町長が町民に対して子育て支援を行いますという宣言をする事で、町民に安心感を与えたと思っている。町外に対してのアピールもできた。

◉2023年に「こども議会」を復活させた。小学生に事前に課題を考えさせて、議会で発表させる。提案された事が実際条例になっている事もある。
◉少子化対策との関係性の説明は今回の研修ではなかったと思われる。

◉岡山県では先駆けで子育て支援を行った。しかし現在ではお金の支援はどこでもやっており、奈義町では金銭面での差別化は図れないと考えている。
奈義町の子育てコンセプトは生まれる前から大学卒業まで切れ目のない支援を行う。
・出産祝い金10万円。保育料多子軽減。18歳までカウント。
・こども園小中学校の給食費の無償化
・小中学校の教育教材費を無料化
・高校生までの医療費無料
・大学生に町独自の奨学育英金卒業後に町への定住で全額返済免除
・特定不妊治療を受けた方に県の助成を引いた額の1/2以内で年額20万円を助成
・在宅育児をする保護者に毎月15,000円の支援金
・高校生への就学支援として年額240,000円の支援金
・中学3年生までの子どもを育てるひとり親に年額5万4千円を支給第2子以降は1人2万7千円加算
◉大学卒業後に奈義町に帰ってくると奨学金を免除する仕組みをつくっているが、実際は殆ど帰ってきていない。帰ってっくるのは大学生の1割ぐらい。女性はとくに帰ってこない。
具体的な少子化対策

◉子育て中の母親同士の接点をつくる事で、コミュニケーションが高まり子育てへの不安解消に繋がる。そして出生率向上にもつながるのではないかと思われる。またチャイルドホームは保育園とは違って預かるだけの機能にとどまっていない。高齢者の交流の場ともなり、世代間交流から地域で子育てを行うといった意識の醸成につながっていると思われる。
◉チャイルドホームに必ず1回は訪問するような仕組みづくりをしている。チャイルドホームには地域の方も入っている。確か300円で一時保育する仕組もがある。
◉チャイルドホームは町営。アドバイザーは会計年度任用職員。保育園、こども園との違いは⇒親と子どもが一緒に参加する施設。一方こども園等は預かりだけの施設(つまり園には子供しかいない)。
◉結婚支援がないと子どもは生まれない。子供を産む98%が結婚している人。そこで奈義町ではトレッキングイベントの婚活イベントを開催した。しかし女性の参加は厳しく、前回の開催では男女で9名しか集まらなかった。

◉奈義町では小中学校の全学年にALTを配置して英語スキルの向上を目指している。開始は今年からでまだ成果は見えていない。始めたキッカケは他自治体の模倣。予算はは8000万円と高額となっている。
◉移住定住において、子育て支援策だけでは差別化が測れないので、教育を充実させる事で差別化しようとしている。
◉予算の余裕がなく、現状はふるさと納税アップ頼り。

◉昔に社会福祉協議会で人材センターがあった。そちらのノウハウをしごとコンビで活用している。
◉しごとコンビニ事業の収支はプラスマイナスゼロの状態。イニシャルコストはいろんな事業とからめて行ったので、一概に算出できない。仕事コンビニの人件費は補助金を活用している。しかし間もなく切れるので他の補助金をもってこなければならない。


◉工業団地の従業員800人うち700人が町外。しかも外国人もいるので、奈義町民はは50人ぐらいしか働いていない。
◉工業団地は10年間埋まらなかった。どうしようもなくて土地代をタダなどしてやっと16社が埋まった。

◉奈義町は少子化対策で大切なのは住環境が一番大切だと思っている。奈義町の賃貸住宅はほぼ全て埋まっている。なので奈義町に移住するには分譲地を買うか、空き家に入るしかない。
◉「社会増は可能ですか?」と担当者に来たところ「可能です」との事。ただし奈義町は住宅が足りなく、移住者を受け入れたくても、住む場所がない。公営住宅ももういっぱい。民間の賃貸に頼りたいところだが、奈義町では採算があわないと判断しているのか、奈義町内でアパートの建設が進まない。大きなお金をかけて住宅を整備しないと移住者を受け入れる事ができないのが問題となっている。
◉町営住宅を作ればつくるほど手間がかかってしまい、平成27年以降進めていない。
◉自衛隊は3〜5年で移動してしまう。しかし奈義町に駐屯して奈義町を好きになって移住する人もいる。自衛隊の存在は交流人口、関係人口の増加につながっている。
◉一人ぐらしの女性が奈義町には少ない。

◉空き家は200件存在する。奈義町で移住支援金は設けていない。
◉国の空き家対策事業
◉住宅環境を整えようと思った理由は、結婚しても住む場所がないという理由からだった。移住者のニーズという意味もあったが、それより町民のために作った意義があった。


◉多世代共生型 ナギフトカード⇒専用アプリでお悔やみ情報も配信している。
◉ナギフトカードは地元でしか使えないので、現金とは違いお金が町内で循環する。

奈義町まとめ
奈義町考察
◉合計特殊出生率が3人近い奈義町でさえ将来は極端な人口減が訪れる。担当者も言っていたが出生数より社会増を図らなければ人口増とはならない。
◉ところで担当者に「最近の社会増減はどうか」と訪ねたら「プラスの時もあればマイナスの時もある」との返答で、現時点で社会増となる仕組みを確立できているわけではなく、奈義町を成功事例と判断するのは正しくないと考える。人口に一番影響を与えるのは出生数ではなく社会増減である以上、社会増が最低5年以上続くような結果を出せたら成功事例と言っても問題はない。しかし奈義町の様々な対策や取り組みは少しでも社会増にいい影響を及ぼす活動である事は間違いない。奈義町の活動を模倣するにしても、大きな予算をかけて実施するのではなく、スモールスタートで試行錯誤しながらするのが妥当と思われる。
◉チャイルドホームの取り組みはも奈義町の目的とする母親の子育て不安の解消や負荷軽減だけではなく、世代間交流を通した人間関係希薄化抑止にもつながる。低コストで実現できれば、当町も導入すべきと考える。
◉1学年に1人のALTは予算が8000万円も要する。それだけの予算を取れるのであれば、ALTを使わなくても別の手段で英語のスキルアップができる筈だろう。安直に模倣するのは禁物と思われる。
◉これからの人口減少により人手不足が様々なところで発生する。もちろん当町もそのような状況に陥るわけで、奈義町の「しごとコンビニ事業」を参考として、何等かの手段で人手不足対策を進めて行く必要がある。
◉奈義町の企業誘致は恐らく失敗事例と捉えるべき。理由は奈義町では土地をタダで貸しているため本来得られる筈の土地売却代金を得る機会を失った事、また従業員が800人中、町民は50人ぐらいしかおらず、雇用創出が期待値を下回っているから。当町でも工業団地を整備すべきという声もあるが、もし予算を投じる場合は、高畠町民の就業数、経済効果などを推定して、投資額より効果があるか判断して計画を立てるべき。
◉移住を増やすのであれば、金銭的インセンティブを与えるのが普通だが、奈義町はそれを実施していない。どういう理由で移住支援金を設けていないかは、調べる必要がある。
◉「ナギフトカード」は当町のたかまるポイントとの差異を調べて、たかまるポイントで活かせる部分を探す必要がある。
奈義町は人口減対策の成功事例ではなかった
まずこのページの冒頭で地方創生大全の「本物の成功と偽物の成功を見分ける5つのポイント」を紹介した。
(1) 初期投資が交付金・補助金のような財政中心ではなく、投資・融資を活用しているか
(2) 取り組みの中核事業が、商品やサービスを通じて売上を立て、黒字決算となっているか
(3) 始まってから5年以上、継続的に成果を出せているか
(4) トップがきれいなストーリーだけでなく、数字について語っているか
(5) 現地に行ってみて1日定点観測して、自分の実感としても変化を感じるか
上記の定義が奈義町にどれだけ当てはまるか検証する。
(1)✕ 聖域ない改革を行っての予算なので、投資・融資は活用していないと思われる。
(2)✕ 黒字を生む事業ではない
(3)✕ 自然減を社会減も抑えきれていなく、成果がでているとは言い難い
(4)✕ 主にストーリー的な話が多かった。社会増減も講演中に話す事もなかった
(5)△ 定点観測をしてはいないし、するような事案でもない。
以上の事から、奈義町は合計特殊出生率2.95を出した話題となった町だけで、人口減対策の成功事例ではない。
参考にすべき事/覚えておくべき事
【参考にすべきところ】
◉何等かの事業で未来へ投資するために、聖域のない行財政改革を行う事。
◉チャイルドホームのように世代間交流の機会を創出する事。ただしこれは出生数を増やす取り組みであり人口減対策としては効果は薄い。実施するのであれば別の意義を定義する必要がある。
◉しごとコンビニはこれからやってくる人手不足社会対策に使える。
【覚えているべき事】
◉亡くなる人の数を出生数で補う事は極めて困難で、出生数を上げる事では人口減は止められない。
◉人口減のスピードを緩めるためには、転入者を増やすしかない。
◉金銭的な出産・子育て支援は、他の自治体でも実施しており差別化にはならない。
◉安心して子どもを生み育てる環境をつくる事が、出生数アップに繋がる可能性がある。