地方議員が開く「政策の窓」-地方議員への政策アイデア12-

備忘録

◉観光庁の調査によると、定住人口1人当たりの年間消費額(121万円)は、旅行者の消費に換算すると外国人旅行者11人分、国内旅行者(宿泊) 26人分、国内旅行者(日帰り)81人分にあたるとしている。つまり外国人旅行者11人、国内旅行者(日帰り)81人分で定住人口1人分消費額に該当するため、観光誘客の拡大は経済的側面から人口減を補う可能性がある。

◉当局は他市町村との優劣を気にするので、他市町村のでは○○している等の比較は、当局を動かす誘引になり得る。

◉税外収入による財政の補完
  1 手数料、使用料、過料
  2 ふるさと納税
  3 命名権…命名権で金銭的収益をあげるのではなく、施設の命名権を得た業者に施設の運営管理を任せ、それに関わる経費を負担してもらう方法もある。
  4 クラウドファンディング

◉提案を行う場合は、税外収入を得る事も考える。

◉【アイデア】自治体シンクタンクに提案だけでなく、評価も行わせる。

◉創生の意味を調べると「作り出すこと。初めて生み出すこと。初めて作ること」とある。創生の前についている「地方」とは「地方自治体」を意味するだろう。その観点から考えると、地方創生とは、「地方自治体が、従前と違う初めてのことを実施していく。あるいは、他自治体と違う初めてのことに取り組んでいく」という意味があるといえる。

◉ 居住地選択の優先度(国土交通省(2010)「居住地域に関する意識調査」)
 ①物件のよさ(広さ、間取り等住宅自体に関する事項のよさ)
 ②交通利便性のよさ
 ③自然環境のよさ
 ④医療・福祉環境の充実
 ⑤治安のよさ
 ⑥商業施設の充実
 ⑦地域・街のイメージのよさ
 ⑧子育て環境(保育園・幼稚園・小中学校等)の充実
 ⑨行政サービスの水準の高さ

◉執行機関への監視機能は、毎日新聞社(2015年)のアンケート調査が参考になる。同調査は、都道府県・市区町村議会を対象に実施し、1592議会から回答があった(対象1788議会、回収率89%)。アンケート結果によると、
2011年から4年間で、50%にあたる 802議会は執行機関の提案について否決も修正もなかった。そして否決したことがあるのは422議会(27%)であり、修正案を提出したことがあるのは605議会(38%)となっている。両方ともあった議会は全体の15%の237議会にとどまった。

◉毎日新聞社の調査によると、2011年から4年間で、議員提案の政策条例(改正含む)を可決した議会は、全体の17%(274議会)となっている。可決数を見ると、その約3分の2が1件のみである。2件以上は93議会で、全体の中では6%にとどまっている。時代はさかのぼるが、同様なアンケート調査を朝日新聞社(2011年)も実施している(対象 1797議会、回収率100%)。同調査は2007年から4年間で、議員提案の政策条例が一つもない無提案議会が91%と報告している。そして1本以下に限定しても98%に達している状況が明らかになった。アンケート調査機関が異なり、また母数も違うため一概に比較はできないが、議員提案政策条例が9%(2007~2011年)から、17%(2011~2015年)に拡大している様子が理解できる。着実に議員提案政策条例の機運が高まっていると言えそうである。

◉監視機能強化規定。執行機関への監視機能を強化する規定がある。見出しを「年次報告」する。条文は「第◎条市長は、毎年、議会に、基本計画に基づいて講じた施策について報告しなければならない」とする。条文により、市長は議会への報告義務が発生する。こうすることにより、部会が独行機関の活動を定期的に整問していくことになる。

◉政策の立案機能の強化の一視点は、議会事務局を充実する必要がある。例えば、議会基本条例の中に「議会事務局等」として見出しを設定する。条文は「第◎条議長は、議会の政策立案機能を強化させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、専門的な知識経験を有する職員の配置及び育成を行うなど議会事務局の機能強化に努めるものとする」と書き込むことも有効である。三重県議会基本条例の中には、もう一歩踏み込んだ規定がある。
それは「議会は、専門的な知識経験等を有する者を任期を定めて議会事務局職員として採用する等議会事務局体制の充実を図ることができる」である(第25条第2項)。議会が独自で職員を採用できることを謳っている。地方自治法では議会事務局の職員の人事権は議長にある。しかし、この人事権がほとんど執行できていないと聞く。そこで次の規定が思いつく。議会基本条例の中に見出しを「議会事務局職員の任命」と設定する。そして条文は「第◎条議長は事務局長、書記長、書記その他の職員を任免するときは、必要に応じて、市長と協議する」と明記する。この規定により、必ず、議会事務局職員の任免については議会と執行機関(議長と市長)の間で公式の協議が行われることになる。公式の協議の場を設けることは、原則として、すべて読職として残る。つまり「言った」や「言わない」という状況にならない。この観点でも同規定はメリットがある。

◉議会は予算編成権がない。しかし条文規定を活用することにより、執行機関の予算編成権を間接的に担保することができる。見出しは「財政上の措置等」とする。条文は「第◎条 市長は、この条例の目的を達成するため、必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならない」と明記する。筆者は「財源根拠規定」としている。議員提案政策条例に、この規定に明確に入れておくことにより、執行機関が持つ予算編成権を間接的に担保することにつながる。同規定により、執行機関は、原則的に政策条例により実施される施策や事業に予算をつけざるを得ない。

◉議会の一つの大きな役割は、執行機関への監視がある。そこで議会が執行機関への「立入調査権」を議会基本条例に設定してもよいだろう。現時点ではこの規定はないようだ。執行機関は万能ではない。不祥事が発生することもある。しかし不祥事が発生しても、すべての情報が開示されることが少ない。その結果、議会として何も手を打てない場合もある。このようなときに備えて「立人調査権」を議会基本条例に位置付けておくのである。

◉鎌倉市議会基本条例には、国会のような質問主意書(文書質問)が設定されている(第7条)。質問主意書により、議会の開会中だけではなく、1年中いつでも市長等に対し公式に質問できるようになった。また同条例により市長等は2週間以内には、答弁を議会に送付しなくてはいけない。質問主意書という文書による質問形式ではあるが、会議録としても残り、公開もされる。

◉筆者は地域ブランドの構築を「小さなやかんと大きなやかん」を例示して説明している。水を沸騰させるのに、小さなやかんは毎時間で沸騰する。しかし冷めるのも早い。一方で大きなやかんはなかなか沸騰しない。しかし一度沸騰すると冷めるのも長い時間がかかる。地域ブランドも同じようなことが言える。すなわち「あっ」という間にブランド化された地域は「あっ」という間に飽きられ冷めてしまう。しかし、地域ブランドの構築に時間がかかった場合は、ブーム熱は長期間にわたり持続的に地域が潤うことになる(そして冷めない間に次のブランドを構築していくのである)。地域ブランドの構築は、大きなやかんを目指すべきだろう。

百聞は一見に如かず
百見は一考に如かず
百考は一行に如かず
百行は一果に如かず
百効は一幸に如かず
百幸は一皇に如かず

現代語訳してみると、

数多く聞くよりも、自分で見る方が正しく理解できる
数多く見るだけではなく、自分で考えなければ意味がない
数多く考えるだけではなく、行動しなければ何も変わらない
数多く行動しても、結果を出さないと成功できない

成功するだけではなく、幸せにならなければ価値がない
自分が幸せになるだけではなく、周囲の人達をも幸せにすることが大切だとなります。

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