ジチタイワークス&地方議会人 備忘録

空き家対策

◉所有者と積極的に対話を続け、関係を途切れさせない。
◉うまく制度を活用して、行政のリソース不足を補う。
◉庁内の他部署とも連携して、活用方法を総合的に考える。
◉郵便局を空き家の相談窓口とする。(山口県美祢市)
◉高齢者にセミナーなどの啓発活動を行って空き家問題を自分事とする(東京都世田谷区)
◉空き家に税金をかける「非居住住宅利活用促進税」(京都府京都市)
◉町が借り上げた空き家を改修して格安家賃で貸出(高知家梼原町)
◉空き家の無償譲渡を行う「アキソル」の活用。

米沢市 空き家を無償解体(山形新聞記事)

米沢市は所有者不在の空き家を年度ごとに1軒ずつ解体し、危険性の除去や空きスペースの有効活用を図ることを決めた。所有者がおらず適切な管理がされていない空き家に対し、行政側が清算手続きできる昨年12月施行の改正空き家対策特別措置法などを活用する。1軒当たり数百万円とされる解体を市内の業者が社会貢献事業として無償で担うと提案があり、連携協定を締結した。県建築住宅課は「民間の善意による先進的な取り組み」と話す。

米沢市と民間業者協定
同特措法では、危険な空き家の除却を円滑に進めることを目的に、市区町村長に財産管理人の選任請求権が付与された。行政側は建物や土地の登記簿、固定資産台帳、住民票の確認などを通じて所有者や管理者がいない物件に対し、裁判所に財産管理人選任を申し立て、清算手続きすることができるようになっ。
 一方で、解体費用は公費負担となるケースがあるほか、裁判所への手続きにも費用が発生するため「選任
請求権は認められたものの、積極的に適用していくにはハードルがある」(同市建築住宅課)との見方があった。同市によると、「倒壊の恐れがある」との判断でこれまで、略式代執行で空き家と空き倉庫の計2件を解体したが、その際は400万~600万円程度の費用負担が生じた。

特措法活用、年度ごとに1軒
市内には所有者・管理者不在の空き家が約70件あり、今後も増加が見込まれる。倒壊防止のため、市が雪下ろしや補修をする必要もあり、毎年数十万円から約700万円の財政負担が発生している。
 こうした状況に、市内で解体・産業廃棄物処理などを手がける横山興業(横山
直人代表取締役)が市に対し、年度ごとに1軒、解体を無償で引き受けると提案。市は11月19日に同社と連携協定を締結した。横山代表取締役は「業界の社会的役割を発することにもつながると考えた」と語った。
協定では、略式代執行に至らない物件のうち、生活環境や景観への影響、解体後の土地利用が見込めるかーなどを両者で協議する。市が弁護士や司法書士などを相続財産清算人などとして申し立て、選任された担当者が管理や売却手続きなどを行う。解体するだけでなく、土地売却した場合、手続き費用や市が負担してきた応急措置の経費に回すことも検討する。市担当者は「積極的な空き家対策が可能となる。行政コストを減らしたりするだけでなく、更地にすることで土地という財産の有効活用にもつなげたい」とした。

インフラの維持管理

◉明確な評価方法を設定し優先順位をつける。
◉町が目指せいている未来への整合性を諮る。
◉住民との合意形成を諮るために今季強く対話する。
◉衛星やAI技術で調査機関やコストを大幅に削減(愛知県豊田市/漏水エリア特定診断)
◉手段から考えるのではなく何が課題かをまず考える。
◉郵便局の配達車両によるドライブ・バイ水道検針(山形県最上町で実証実験中)
◉道路の維持管理を民間事業者に委託(東京都府中市)
◉スマート水道メーターの使用量を監視して、高齢者の見守り支援(岡山県備前市)
◉デマンドバス、スクールバス、研修バス、外出支援サービスを一元管理して、予約窓口の1本化と車両運転手の共有(鳥取県伯耆町)

議会関連

選挙公報の公開

 北海道福島町議会は、平成15年(2003)から現在まで、議員選挙で発行された選挙公報を議会のホームページへ掲載し続けており、現在も平成15年からの選挙公報をすべて閲覧することができる。しかも、毎年、議員自身が選挙公報に自らの公約に対して自己評価を実施し、その結果を議会だよりや議会ウェブサイトへ掲載して公表している。ここまで選挙公報を軸に活動している議会は全国でも福島町議会しかない。
また長野県岡谷市議会では、無投票となっても選挙広報を公開している。

電子投票

 2002年施行の「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律」により、地方選挙を対象に、電磁的記録式投票機によって投票を行う電子投票が導入された。
 電子投票の導入は投票率に必ずしもプラスの影響を与えず、導入後数回の実施で投票率が低下する傾向があります。電子投票の効果は一時的なPR活動によるもので、長期的に維持されるものではありません。しかし、電子投票は記名不要で無効票を減らし、代理投票や点字投票の必要性を減少させます。また、開票時間の短縮効果があり、従来の開票に比べて大幅に時間が短縮されるという利点があります。
 電子投票は一部の効果がありながらも、現在ではすべての自治体で電子投票条例が廃止または休止され、実施している自治体はありません。その理由として、コスト負担や国政選挙での制度化が見送られたこと、電子投票機のトラブルへの懸念が挙げられます。また、これにより電子投票機への需要が減少し、事業者が撤退したため、機器の確保ができなくなり、最終的に導入を断念した自治体もあります。

オンデマンド移動期日前投票所の実証実験

 現在、要介護3、4の方々に対して、オンラインや電話で申請があった場合、ワンボックス型福祉車両が「移動期日前投票所」として自宅まで伺い、庭先で投票を行う方法が検討されています。投票所となる車両の場所や日時は、公職選挙法に基づき告示が必要で、個人情報保護の観点から自宅の詳細な住所や家主名を記載しないことが許可されました。車両が自宅に駐車できない場合は、近隣の駐車場を投票所とし、福祉車両で送迎されます。この送迎はオンラインや電話でリアルタイムで呼び出せ、AIを用いてルート最適化が行われます。実証実験が行われ、選挙での円滑な運用を目指しています。 

情報公開条例と個人情報保護条例

 「情報公開制度」と「個人情報保護制度」は異なる目的を持つ制度です。情報公開制度は、議会が保有する行政文書を第三者が開示請求できる制度で、個人情報が含まれる部分は原則として不開示となります。一方、個人情報保護制度は、行政文書に含まれる個人情報を保護することを目的としています。情報公開制度では、個人情報部分は黒塗りで公開され、本人が開示を求めても黒塗りが維持されますが、本人が個人情報保護条例に基づいて開示請求をすれば、その情報は開示されます。

情報公開条例に基づく開示請求への対応

(1) 録音データの開示請求については、会議録の内容確認のため、録音データの開示請求がある場合があります。録音データが情報公開条例上の行政文書に該当すれば、開示請求に基づき開示されるかどうかが決定されます。
(2) 作成途中の会議記録について、記録が完成していない場合、情報公開条例に基づく開示請求には「開示対象行政文書は不存在」となることがあります。途中のメモやデータが「組織的に用いるもの」として開示対象になることもありますが、判断が必要です。
(3) 会議録原本への開示請求では、秘密会の議事部分は会議規則により公表しないとされていますが、情報公開条例に基づき秘密会の内容が非開示とされるかどうかは法令に基づいて判断されます。過去の訴訟では、秘密会の議事部分を非開示とした議会側が敗訴した例もあります。

地方議会のオンライン出席

 地方議会のオンライン出席に関して、ここまで総務省は、「委員会への議員のオンライン出席を限定的に容認する見解」に始まり、その後、「本会議及び委員会への参考人のオンライン出席を全面的に容認する見解」、さらに「本会議一般質問におけるオンライン上の質問行為を限定的に容認する見解」と展開してきた。なお、「久席議員がオンラインによる方法で質問をすることは差し支えない」と言及している以上、法定上の出席者とは扱われない点も注意が必要。

AIによる議員の代替

定例会の開会日によく行われる首長の議案提案説明になると、AI動画に代替される可能性は高い。多くは事前に台本原稿テキストが存在しているため、A工動画の作成も容易だ。さらに提案説明の省略は規則上可能だし、そもそも議会の成立要件は出席議員数であり、出席説明要員数ではない。

議員報酬の算定

1964年、1968年と旧自治省は報酬審議会設置に関する通達を発した。こうして動きに落ち着きが見えたタイミングで、1969
年に全国市議会議長会が、1978年には全国町村議会議長会がそれぞれ特別職である市長の1/2、町村長の30%水準という見解を発表した。

地方自治法89条の改正

以前の89条は「普通地方公共団体に議会を置く」と、きわめて簡潔でした。改正で議会が「議事機関」であることが明示されました。
また「重要な意思決定に関する事件を議決し、・・・・・検査及び調査その他の権限を行使する」と明記されました。
一般的に議会では、委員会でも本会議でも執行部への質疑が中心のはずです。ほとんどの議員のみなさんは、質問することだけが役割だと錯覚しているようです。果たして、執行部との質疑中心で、改正89条が期待する議会になれるでしょうか。
必要な情報や回答を得るためなら、文書でやり取りする方が確実です。あらかじめ質問を取り、準備した回答を読み上げるのは、単なる「儀式」で時間の無駄です。しかも大部分の議会は、ほぼ提案もしません。執行部原案は圧倒的大部分が、そのまま通過してしまいます。

シティマネージャー制

地方制度調査会では地方公共団体の組織形態案として、二元代表制以外に「シティ・マネージャー制」(議会が任命する、極めて専門性の高い行政職。政治から一線を画しているため、議会の政策立案への支援の役割も担う)などの検討も加えていた。

記事抜粋(地方公共団体政策支援機構代表 長内紳悟 氏)

政策を事後検証する議会が、およそ9月に行われる「決算議会」である。これは「ところで、その施策でまちに変化はあったんだっけ?あったならば、それはどのような変化だったんだっけ?」ということを議論していく議会を指すものだ。
では、政策を事前に検証する議会はいつだろう。それが、およそ3月に行われる「予算議会」なのである。
これは「ところで、その施策でまちに変化はあるの?あるならば、それはどのような変化なの?」を議論していく議会を指すものだ。
これらは施策やKPI、さらにはエビデンス (ビッグデータ活用)に基づかなければできない議論である。だからこそ、地方自治法第233条は決算の認定にあたって、首長には、「施策の成果」が出ているかとうかを説明する書類を認会に対して提出することを義務付けている。地方自治法上で唯一「成果」という表現を使っているものこそ、「施策」なのである。そして、その成果を誰にとっても成果と言えるかどうかを測る共通の物差しが、地方創生で示されたKPIなのである。
施策に対する市民満足度など定性的な変化はあるか、その施策に関わる定量的な変化はあったのか、あるいは定量的なデータとしてどのようなものがあるかしこれらを事実確認したり、事実解釈したり、分析したりするのに議会のデジタル化は行われるのが本筋である。

その他

地域おこし協力隊から議員へ

2023年度の地域おこし協力隊員数は7200人に達している。総務省の調査結果によると、2018年度から2022年度に任期終了した隊員は7797人いる。そのうち約69・8%の隊員が同じ地域に定住している。地域おこし協力隊の任期終了後に地方議員を職業として選択してもらう視点もある。
先進モデルはいくつか存在する。長野県南無輪村の藤城栄文村長は、元地域おこし協力隊員である。藤城町長は南箕輪村に地域おこし協力隊として赴任し、任期終了後、村議選に出て地方議員となった。その後町長選挙に立候補し、当選している。

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