財務分析セミナー

山形県地方自治研究センター置賜専門部会「財務分析セミナー」

講師:県自治研センター研究会議研究員 太田克典(米沢市議会議員)氏

2025年2月21日(金)13時30分~16時00分 南陽市えくぼプラザ

備忘録

◉ふるさと納税が増えても地方交付税は減らされない
◉国民民主党の掲げる178万円の壁が撤廃されると、地方自治体の税収が下がるという話がある。地方交付税のざっくりとした算出方法は、地方交付税=基準財政需要額ー基準財政収入額で、税収が減るという事は基準財政収入額が減るという事。ただ基準財政需要額は変わらないので、国から支給される地方交付税額が増えるという事になり、178万円の壁が撤廃され地方税の収入が減ったとしても、その分は国から地方交付税で補填されるはずなので、撤廃後も地方財政には影響を及ぼさない。こういった事を総務省の課長が話していたとこの講演で伺った。
◉他自治体との比較する場合は一人当たりの予算で比較すると、わかりやすい。総額で見てしまうとそれぞれ財政規模が違うので比較できない。
◉令和5年度の米沢市の出生数350人程度。
◉長井市の将来負担比率が250%を超えている。

財源の種類

地方交付税の仕組み

地方交付税制度の問題点

総額が抑制されてきていること
 規模の小さい自治体ほど、依存度が高いが高くなる
  包括算定経費(測定単位=人口・面積)の導入
  段階補正の縮小と廃止
臨時財政対策債で振替されていること
  本来は現金交付であるはずが、借金で・・・
  「後年度に交付税で措置する」とはいうものの・・・
国の方針によって、自治体の施策が誘導されていること
「地方自治体固有の財源」のはずが・・・
 東日本大震災復興対応で、地方交付税削減
 「がんばる地域応援プログラム」の導入
 「トップランナー方式」の導入

財政分析から見えるもの

経年比較から
  財政危機や財政悪化の原因をとらえる
  国の施策の変化をとらえる
  市町村固有の社会状況や財政運営をとらえる
  財政運営の堅実性、弾力性、市民的公共性をチェックする
類似団体、周辺自治体との比較から
  自らの自治体の財政運営の特徴をとらえる
  類似団体の数値の背景を探ることで、
  改善に向けた取組みや可能性が期待できる

一般会計の比較

その他の財政指標

形式収支とは
  単純に「歳入総額-歳出総額」で差し引きしたもの
  次年度の繰越金、貯金(財政調整基金)になる
実質収支とは
  形式収支から「翌年度に繰り越すべき財源」を引いた額
  「翌年度に繰り越すべき財源」は、
  「今年度に支出される予定だったけれども、実際には支出されなかった経費」
  主な財政の赤字・黒字に用いられる
単年度収支とは
  当該年度の実質収支から、前年度の実質収支を差し引いた額
実質単年度収支とは
  単年度収支に実質的な黒字を加え、実質的な赤字を差し引いた額
  単年度収支+積立金+繰上償還金-積立金取崩額

厳しい長井市の懐

実質収支・実質単年度収支の推移
令和3年度の発表された財政見通し
令和7年度の財政指標

◉経常収支比率が98.5%(前年度97.5%)と1.0%悪化した。
◉実質公債費比率は15.9%(前年度14.8%)と1.1%悪化した。
◉実質公債費比率は、令和9年まで厳しい数字が続く模様。
◉市債残高は237億5,871万円(前年度243億5,007万円)で、5億9,139万円減少する。後年度償還額に対し、全額交付税措置される臨時財政対策債等を除いた残高は、202億円余りとなる。
◉令和6年度末時点の財政調整基金残高は、2億7,900万円を見込み、令和7年度末時点では1億円を切ると推定される。

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