抗うつ剤について

私の大切な知人に抗うつ剤について知ってもらうため、Indeepの記事を転記いたします
これまで誰も体系的に触れられなかった聖域「抗うつ剤の離脱作用の激しさと、飛び抜けた有害性の現実」が国際的な研究によって明らかに
ベンゾジアゼピン系と抗うつ剤
昨日は体調というのか何というのか、どことなく調子が悪く、何となくボーッとして過ごしていましたが、ふと、
「昔は、こうやって《どことなく調子が悪いのが続いている》と神経内科で言うだけで、すぐ抗うつ剤が処方されたものだよなあ」
と思い出します。
私は、二十代からずいぶんと長い期間、神経内科に通院していたことがあり、それは(行かない時には何年も行なかったとはいえ)通算すれば、 30年くらい通っていたことになります。
その 30年くらい前から、おそらく現在にいたるまで、メンタル系のお医者様たちが「もっとも気軽に処方」するものが、
・ベンゾジアゼピン系の薬(抗不安剤や睡眠剤など)
・抗うつ剤
ということになります。
この中でも、抗うつ剤というのは、実は「その薬効自体が怪しい」ものではあり、また、昨年、記事で取りあげましたけれど、SSRI 系というものに分類される抗うつ剤というものがありまして、これは現在も大変な売り上げを誇っているものですが、その大きな副作用として、
「自死を後押しする」
というのがあるのです。
これについては、以下の記事で、アメリカのメジャー科学メディア「サイエンティフィック・アメリカン」の記事をご紹介したことがあります。
アメリカの医薬品当局も日本の厚生労働省も共に認める「SSRI 系抗うつ剤は自殺を後押しする」という事実は今や誰もが知っている。なのになぜ処方は続いている?
そして、最近、イギリスやスウェーデンなどの複数の大学の研究者たちが、
「抗うつ剤をやめた後に起きる離脱症状についての最大規模となる研究」
をおこなったのです。
これについては、今まで、なぜか、どの国の医学者たちによっても体系的におこなわれたことがなく、そのために、どの国でも抗うつ剤のガイドラインは「抗うつ剤の離脱症状は、重大なものではない」というようになっています。
離脱症状とは、かつては禁断症状と言われていたもので、「薬をやめた後に起きる症状」のことですが、今回発表された研究では、
「抗うつ剤の離脱症状の重症度と深刻さの現実が、現在の医療ガイドラインで説明されていることと違いすぎる」
ということを示す内容となっているのです。
実際に、論文の中で、研究者たちは、「抗うつ剤に対してのガイドラインをただちに刷新するべきだ」と述べています。
冒頭には、そのことを記事にした英国 BBC の記事を貼っていますが、実は、この BBC の記事の内容は「何となく手ぬるいもの」となっていて、論文の実際を伝えるものとはなっていません。
そこで、今回は、様々な医学論文の内容を取りあげるアメリカの「グリーンメディンフォ (greenmedinfo.com)」というメディアから、このイギリスの研究者たちの論文の中身をご紹介します。
もし、現在、抗うつ剤を使用している方や、病院等で勧められることがある方にも読んでいただきたいと思います。
経験上でも、抗うつ剤というのは「効果がないのに副作用ばかり出る」というイメージが強いです。
他にもこれらに関してはいろいろと言いたいこともあるのですけれど、まずは記事をご紹介したいと思います。
ここからです。
Antidepressants Cause Severe Withdrawal Symptoms like "Hallucination," "Mania," & "Anxiety," New Study Reveals
greenmedinfo.com 2018/10/03
抗うつ剤が、「幻覚」「躁病」「重度の不安」などの深刻な離脱症状を引き起こすことが最新の研究で明らかに
最新の国際的研究で、抗うつ剤を中止した人たちの半分以上が重度の離脱症状を示し、そこには永続的な損傷が含まれていることがわかった
英国ローハンプトン大学など国際的研究チームによる最近の研究で、抗うつ剤の離脱症状の重大性が示された。
発表された論文のタイトルは、「抗うつ薬の離脱作用の発生率と、その重症度および持続期間に関する体系的なレビュー :現在の抗うつ薬のガイドラインは医学的証拠に基づいているのか?」(A systematic review into the incidence, severity and duration of antidepressant withdrawal effects: Are guidelines evidence-based?)というもので、この研究は、抗うつ剤が、これまでに想定されていたよりもはるかに中毒性が高く、有害であることを明らかにしている。
米国でも、これまで数多くの著名な精神科医たちが、抗うつ剤の危険性について主張していたが、今回の研究は、その長年の問題を後押しするものにもなる。
論文のハイライトは次のとおりとなる。
・抗うつ剤の服用を中止しようとした人たちのうちの半数以上( 56% )が離脱症状(禁断症状)を経験している。
・離脱症状を経験した人のほぼ半数(46%)は、その症状が重度のものだった。
・離脱症状が数週間または数ヶ月以上続くことも珍しくないことがわかった。
・これらのことから、現在のイギリスとアメリカでの抗うつ剤のガイドラインは、離脱症状の重篤度および、離脱症状が持続する期間を過小評価している。抗うつ剤のガイドラインの見直しには重大な臨床的意義を有する。
現在の「イギリス国立医療技術評価機構」(イギリス保健省配下の保健機構)と、アメリカ精神医学協会での、うつ病の治療ガイドラインでは、抗うつ剤の離脱反応は「限定的である」とされており、深刻なものとは見なされていない。
しかし、今回の研究では、抗うつ剤の離脱反応は、限定的ではなく、半数以上に起きる上に、重度も高いことが示されたのである。
研究グループは、抗うつ剤の離脱の評価のため、以下の方法を用いた。それぞれ論文からの抜粋だ。
抗うつ薬の離脱反応の発生率、重症度および持続時間を確認するために、体系的な過去の医学文献の精査が行われた。そして、さまざまな方法論とサンプルから、抗うつ薬の離脱反応に関しての 23の関連研究を特定した。
結果は以下のように報告された。
そのうちの 14件の研究による離脱発症率は 27%〜 86%で、加重平均は 56%であった。
そのうちの大規模な調査による 4つの研究では、最も重度であることを裏付ける抗うつ剤の離脱症状を経験している患者の加重平均が 46%に上っていた。
また、非常に多様な 10の研究のうちの 7つでは、離脱を経験した人々のかなりの割合が、その症状が 2週間以上続いたことが分かり、抗うつ薬をやめた人たちが、離脱症状を数カ月間以上経験することも珍しいことではないことがわかった。
離脱症状に伴う副作用の症状の種類も多く、論文には以下のように書かれてある。これが数カ月以上続く場合もあり、中には永続的な機能障害を示すこともある。
抗うつ薬の中止後の典型的な症状には、不安、インフルエンザ様の症状、不眠症、吐き気、平衡感覚の欠如、感覚障害、過知症の増加、めまい、感電様感覚、脳波の異常、下痢、頭痛、筋痙攣および振戦(からだの震え)等がある。
上記の症状が最も一般的な身体症状だが、抗うつ剤の服用中止が躁病を誘発する可能性があるという証拠もある。
また、感情の鈍化、泣くことができないなどの症状や、性機能障害については、これが長期的あるいは永続的な機能障害となる場合がある。
研究は次のように結論づけている。
抗うつ薬の離脱に関するイギリスとアメリカでのガイドラインは、抗うつ薬の離脱の発生率、重症度および持続時間に関する証拠とは明らかに異なる。そのため、我々は、これらのガイドラインを緊急に刷新することを提案する。
今のガイドラインのままだと、おそらく離脱症状への誤解(抗うつ薬の離脱症状は大したものではないという現在の誤解)が広がり、結果として、抗うつ薬の処方が必要ではない多くの人たちへの抗うつ薬の処方が続き、あるいは、より高い薬効の抗うつ薬処方の増加をもたらす可能性がある。
処方する医師たちは、患者に抗うつ剤をやめる時に起き得ることの可能性について十分な情報を伝えるようにするべきだと勧告したい。
そして、研究者たちは、イギリスとアメリカ以外でも世界中で抗うつ剤の処方の増加しており、その増加は「抗うつ剤の離脱症状に対して、さらに抗うつ剤が処方される」という状態が促進されている可能性があると指摘した。
抗うつ薬の使用期間が長くなると、同じ期間での抗うつ薬の処方量が増加するために、そのような長期使用がなぜ起きているかを理解する必要がある。
今回明らかにされた証拠によれば、抗うつ薬の長期の使用は、抗うつ薬を中止する際の離脱症状の発生率と、その重症度、および離脱症状の持続期間の過小評価に部分的に根ざしている可能性がある。例えば、うつ病が再発した時には、抗うつ薬の使用がまた始まり、あるいは抗うつ薬による治療が効かなかった時には、新薬の試行や薬の大量投与につながっている可能性があるということだ。
この問題は、長期の抗うつ薬の使用が、重度の副作用の増加、体重増加リスクの増大、患者の自律性および回復力の障害(医学的援助への依存度の増加)、より大きな再発率、さらには、死亡率の上昇と、認知症の増加があるということだ。
このように研究者たちは、現在の精神医療においての抗うつ剤の使用そのものに対しての問題も指摘した。
精神医学の現在のガイドラインには危険性が多い。しかし、今回のイギリスの研究者たちのように、少数であっても、勇敢な専門家たちのおかげで、私たちは精神医学の危険性を客観的に知ることができる。
また、現在は、精神医療での薬剤をやめるためのプログラムも存在する
ここまでです。
なお、メンタル系の薬には、どんなものにも「ある程度の離脱症状」があります。
つまり、服用している時の副作用よりも、やめる時が大変なのが一般的です。
ただ、これは個人差がかなり大きいもので、全然大丈夫な人もいれば、やめるために何か月も何年も地獄のような思いをする人たちもいます。
たとえば、以下の記事には、私のベンゾジアゼピン系の離脱症状と、そして、私は「脳が萎縮」しているのですが、これも長期のベンゾジアゼピン系の摂取によるものだと思われます。
意図して書き始めたわけではないけれど、話はナルコレプシーと脳萎縮と「30年間におよぶベンゾジアゼピン系薬物依存」のことへと転がる石のように
投稿日:2016年12月15日
このように、私の場合は、脳が萎縮しているので、靴と間違って缶詰を足に履いて出かけたり、メガネと間違ってスイカを耳にかけて外出してしまったり、電車と間違って郵便ポストに乗ったりするようなことはありますが(いい加減にせえ)、まあ、真面目な話、メンタル系の薬の離脱症状で苦しんでいる人たちはたくさんいます。
それが理由で「消えてしまった友人」もいます。
海外には、今では「ベンゾジアゼピン系をやめるためのマニュアル」というものもありまして、これは、英国ニューカッスル大学神経科学研究所の名誉教授であるヘザー・アシュトン氏がまとめたものですが、日本語にもされています。下のリンクから読むことができます。
・ベンゾジアゼピン - それはどのように作用し、 離脱するにはどうすればよいか - ベンゾジアゼピン離脱治療のための手順書 (2002年)
なお、先程リンクした過去記事にも記していますが、抗うつ剤を含めて、メンタル系の治療と薬剤そのものが「命に関わる場合がある」ということは、日本の以下の報道でもわかります。2011年9月の記事です。
2011年9月28日のNEWポストセブン「1998年以降抗うつ薬の売り上げ増加と自殺者激増が一致 」より抜粋
自殺者の家族などが集まる全国自死遺族連絡会が 2006年7月から 2010年3月に自殺で亡くなった方 1016人の遺族に聞き取り調査したところ、約 7割にあたる 701人が精神科の治療を継続中だった。
また、東京都福祉保健局が自殺遺族から聞き取り調査をして 2008年に発表した自殺実態調査報告書でも、自殺者のうち54%が「精神科・心療内科の医療機関」に相談していたことがわかっている。
実は国の調査でも自殺事例 43事例のうち、20事例( 46.5%)において死亡前1年以内に精神科受診歴が認められていた。
こうしたデータは、精神科・心療内科の受診が自殺防止につながっていないことを意味する。
むしろ、受診が自殺を後押ししている可能性があるのだ。
ここに、自死された方の「約 7割にあたる 701人が精神科の治療を継続中だった」とあるように、少なくとも、メンタル系の病院というのは、「命を助けてくれる」ということを保証してくれる場所ではないということは、多くの方が自覚されてもいいと思います。
しかし現実として、日本の抗うつ剤や、他のメンタル薬の処方と売り上げは上昇する一方です。
下のグラフは、2010年までの日本の抗うつ剤の売り上げの推移で、この上昇もなかなかすごいですが、この 2010年の後に、さらに SSRI 系という抗うつ剤の売り上げが飛躍的に伸びます。

そして、下のグラフのように、日本は世界と比較しても、メンタル系薬剤の処方率で、世界最高クラスです。

上のグラフでは、日本はベルギーに次いでの2位となっていますが、このデータには、日本で最も多く処方されているベンゾジアゼピン系のデパスという抗不安剤が含まれていないですので、実際的には「世界一」だと考えられます。
1000人に 50人に処方されているということは、「日本人の 20人に 1人が抗不安剤や睡眠剤を処方されている」という異常事態だといえます。しかも、実際には、未成年には普通はあまり処方されないので、成人での処方の率はさらに上がると考えられます。
どうして、このような異常なことになってしまったのかというと、「メンタル医療がほぼ薬物によるものだけとなった」と共に、「これらの部門の日本での売り上げがすごいので、ターゲットにされ続けている」ということもありそうです。
もちろん、この世には、薬物治療だけではない精神科の医療を行うお医者様もいらっしゃるのでしょうけれど、そういう人と出会える可能性は低いと言わざるを得ません。
今の世の中、そして、これからの世の中も、精神的に良い環境とは言えない状態が続くと予測される中で、さらにメンタルの疾患は増えていくと思われます。
その中で、苦しい時にどのような方法があるのか、もちろん、それはきぞんの精神医療を上手に利用することも含めて、個人個人が冷静に考えていくことが必要な時代になっています。医療を利用するのはいいですけれど、依存してはダメです。
抗コリン薬や抗不安剤、抗うつ剤を含む、非常に多くのジャンルの薬が「認知症を引き起こす」そのメカニズム
脳への有害な作用
非常に多くの種類の薬に、認知症を引き起こす作用があることについては、かなり以前から書かせていただいていたことがありました。
以下は 2019年の記事です。
[記事]花粉症の薬や風邪薬、胃薬にパーキンソン病の薬、そして抗うつ剤や抗不安剤……多くの「抗コリン」一般薬が、認知症発症のリスクを著しく増加させていることが判明
(上の記事でご紹介した研究を紹介していた医学記事より)
> 英国国立健康研究所によって資金提供され、英ノッティンガム大学の専門家たちによって実施された研究は、55歳以上で、毎日、強力な抗コリン薬を使用していた患者たちは、認知症のリスクがほぼ 50%増加したことが見出された。
抗コリン薬というと馴染みがないかもしれないですが、「日常的な薬の多く」といっていいものです。
抗コリン作用を持つ薬の一部
・かぜ薬(PL顆粒)
・抗ヒスタミン薬の一部
・ベンゾジアゼピン系の抗不安剤や睡眠導入剤の多く
・抗うつ剤の SSRI
・その他の抗うつ剤の一部
以前何度か記していますが、私は二十代の頃から、かなり長い間ベンゾジアゼピン系の抗不安薬を服用していましたので、これらのこと(抗コリン薬が脳機能の低下につながること)を知った時には、
「あー、もうダメだ」
と思いまして、認知能力の先行きの短さを今でも覚悟している次第ですが、しかし、これまで、医学的調査のデータ上ではそのことは明確に示され続けていたのですけれど、「どういう機序で認知症に?」ということは、今ひとつわかっていなかったのです。
それが、昨日、米エポックタイムズに「いくつかの一般的な薬は認知症と関連している」というタイトルの記事が掲載されていまして、非常に多くの論文のリンクと共に書かれている理解しやすい記事でしたので、ご紹介したいと思いました。
記事には、いろいろな薬が挙げられているのですが、一般的に処方されているもので認知症を誘発する可能性がある薬としては、以下のようなものが出ていました。
抗コリン薬すべて
・プロトンポンプ阻害剤 (PPI。胃潰瘍や逆流性食道炎などに処方)
・抗うつ剤(特に SSRI。今はパニック障害にも処方される)
・抗ヒスタミン薬 (花粉症、じんましんなどアレルギーなどに処方)
この中で、凶悪性を持つもののひとつとしては、プロトンポンプ阻害剤というの胃の薬がありまして、認知症云々以前に、
「著しく胃ガンの発生率を高める」
ものでもあります。
2019年の研究論文では、以下のようになっていました。
プロトンポンプ阻害剤(PPI)についての論文より
・プロトンポンプ阻害剤の長期間の服用で胃ガン発症リスクが 250%増加
・毎日服用していた人たちは、胃ガン発症リスクが 4 .5倍に
・3年以上服用していた人たちは、胃ガン発症リスクが 8倍に
認知症になる前にガンに導いてくれるという感じでしょうか。
…こう、なんか、「胃」についての神話では、胃酸が悪者視されすぎているのですよね。
胃酸が何らかの症状を作るのが仮に確かだとしても、胃酸は、胃壁を守ってくれているもの以外のなにものでもありません。
その胃酸を強烈に制御し続ければ、胃は時間の経過と共にボロボロになっていき、ガンとはいわずとも良性を含めた腫瘍だらけになってしまうとは思います。
これについては以下の記事で書いたことがあります。
[記事]胃潰瘍や逆流性食道炎に幅広く処方される胃薬「プロトンポンプ阻害剤」は胃ガンのリスクを最大で8倍にまで上昇させる可能性。そして腸内細菌環境を破壊する示唆も
In Deep 2019年9月30日
私自身、かつて胃が弱くて、プロトンポンプ阻害剤ではなくとも、やはり胃酸を抑制する薬をよく飲んでいました。
それで、今になってわかるのは、
「胃薬を飲み続ければ飲み続けるほど胃の調子は段階的に悪くなる」
ことを知りました。本当に今にして、ですけれど。
胃に関しては、まあ私は医療従事者ではないですので、何も対処については何も書けないですが、たとえぱ、「逆流性食道炎 重曹」などで検索をしてみていただきたいとも思います。効果は完ぺきです。
あと、今回のエポックタイムズの記事にリンクされていたアメリカ国立衛生研究所の文献で、一般的なアレルギーの薬( ヒスタミンH1受容体拮抗薬)が、「血液脳関門を突破して脳に入る」ことを知りました。以下のように書かれてあります。
「脳に入っちゃう薬だったのかよ」と知りますが、花粉症とかアトピー性皮膚炎とか、そういう一般的なアレルギー症状に処方されるのは、この H-1 抗ヒスタミン薬というもののようです。
いろんなものが脳に入る時代なんだなあと思いますが、あと、記事には、抗うつ剤として広く処方されている SSRI (選択的セロトニン再取り込み阻害薬)も含まれていましたが、この SSRI には、認知症云々の前に、
「自殺念慮と自殺企図いう深刻な副作用がある」
のです。
[記事]アメリカの医薬品当局も日本の厚生労働省も共に認める「SSRI 系抗うつ剤は自殺を後押しする」という事実は今や誰もが知っている。なのになぜ処方は続いている?
In Deep 2017年11月28日
先日、トリンテリックスという SSRI の添付文書を読む機会があったのですが、「重要な基本的注意」として以下のように書かれています。
医療用医薬品 : トリンテリックス
8. 重要な基本的注意
8.1 うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。
8.2 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。
また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。
このようなものが、若い人たちにもバシバシと処方されています。
医師の方々は、ちゃんとこの添付文書の「重要な基本的注意」を説明して処方しているのかなあ、とは思います。
医師 「あ、そうだ。自殺に気をつけてね」
患者 「は?」
医師 「副作用で、まあ稀にだけど、あるみたいで」
患者 「え?」
医師 「ダイジョブ、ダイジョブ。ほとんどないから。たまにだよ」
患者 「……」
あと、「暴力性が高まる」という副作用も、なかなか問題です。
中途半端に神経伝達物質に介入するから、こういうことになるんです。
神経伝達物質は、まだほとんどわかっていない分野であることが、今回のエポックタイムズの記事にも書かれています。「わかった部分にだけ介入する」と、全体のバランスが必ず乱れる。
あと、アメリカの調査で、「自殺念慮を引き起こす副作用がある薬が 120種類以上ある」ことがわかったりもしています。
以下に一覧があります。
[記事]120種以上の「普通の」処方薬に「自殺念慮を引き起こす副作用がある」ことがアメリカ薬剤師協会の報告で明らかに
In Deep 2023年7月9日
今はワクチン接種「以後の世界」であるわけで、脳がややダメージを受けている人たちもいなくもないかもしれません。
そのような状態で、認知症を誘発するような薬を飲み続ければ、社会の状況がどうなってしまうのかは、あからさまに想像できます。
ここからエポックタイムズの記事です。
いくつかの一般的な薬は認知症と関連している
Several Common Drugs Are Linked to Dementia
Epoch Times 2024/01/26
認知症は加齢によって引き起こされることが多いことはよく知られているが、しかし、薬剤が原因で起こる場合もある。
神経内科医で神経外科医の故 K.K.ジェイン氏は、薬剤性認知症は一般的な神経変性疾患とは異なる可逆性認知症の一種であると書いている。
いくつかの薬剤は認知症のリスクを高めるが、最も顕著なものは抗コリン薬、抗てんかん薬、腫瘍治療薬、鎮静催眠薬だ。これらはすべて高齢者には一般的に処方されるものだ。
近年、抗うつ薬が認知症のリスクとの関連性があることも指摘されている。
認知症と一般的な薬物の関係
精神薬理学に関する数冊の論文を書いている精神科医のピーター・ブレギン博士はエポックタイムズに対し、市販されているほとんどの薬にはある程度の神経毒性があり、認知的および神経学的副作用を引き起こす可能性があると語った。
全員が薬物の神経毒性の影響を受けるわけではないが、高齢者や脳に欠陥がある人たちはより脆弱になる。
高齢になると、さまざまな病気が表面化し、それぞれの症状を治療するために多くの薬が処方されるため、高齢者は認知機能を損なう薬を処方される可能性が最も高いコホートとなる傾向もある。
たとえば、パーキンソン病の治療に処方される多くの薬は、抗コリン薬と呼ばれているもので、これは、患者の震えや突然の動きを防ぐ手段として脳内のアセチルコリンをブロックするため、認知症のリスクと関連している。アセチルコリンは、認知機能も促進する神経伝達物質だ。
逆流性食道炎に伴う胸やけの治療などに処方されることが多いプロトンポンプ阻害剤(PPI)も、認知症のリスクを 44%増加させることが研究で示されている (論文)。
文献上、認知症を誘発する最もよく知られた種類の薬剤は抗コリン薬だ。
抗コリン薬はアセチルコリンの放出をブロックする。すでに 1977年には、抗コリン薬のスコポラミンを使った実験で、薬を投与してから 40分後に、20代の若い医療ボランティアが認知症のような症状を示し、学んだばかりのことを思い出すのが困難になることが示された (論文)。
抗コリン薬は自律筋の動きやさまざまな身体機能をブロックし、さまざまな臓器のけいれんに対して処方されることがよくある。それらは鎮静剤としても機能する。
医学と精神医学の博士号を持つ神経科学者のダヤン・グッドエノウェ氏は、エポックTVの番組で、アセチルコリン系は、認知症で損なわれる2つの主要な機能である認知と運動性を制御するシステムと同じであると説明した。
加齢や薬物の影響によりニューロンがアセチルコリンを放出できなくなると、他のニューロンとの接触が減少する。その後、ニューロンと脳が縮小し始める。
これは、医学神経科学の博士号を持つインディアナ大学教授シャノン・リザッチャー氏が発表した研究でも観察されている。彼女は、抗コリン薬を服用している人は脳全体の容積がより大きく縮小していることを発見した。
「代替療法が利用可能であれば、顕著な抗コリン作用を持つ薬剤の使用は高齢者ではおそらく控えるべきだ」とリザッハー氏とその共著者らは JAMA に発表された研究で述べている (論文)。
抗コリン薬の例には、ベナドリルの活性化合物であるジフェンヒドラミン(※日本では、レスタミンコーワ錠)、タイレノール (※ 日本では、アセトアミノフェン)、およびアドビル (※ 日本では、イブプロフェン)が含まれる。
ベンズトロピン、トリヘキシフェニジルなどのパーキンソン病の一般的な薬も含まれる。
アセチルコリンは加齢とともに自然に減少するため、グッドエノウェ氏と彼のチームは、脳機能全体を損なうことなく脳のアセチルコリンレベルを高める治療法を見つけようと試みている。
うつ薬、その他の薬物、ポリファーマシー
抗うつ薬(論文)、抗てんかん薬、催眠鎮静薬、オピオイドも認知症のリスクを高めることが示されている。これらには、抗パーキンソン病薬と同様に、すべて精神活性作用がある。
抗うつ薬の主な機能は、アセチルコリンの代わりにセロトニンなどの神経伝達物質をブロックすることだ。しかし、これらの薬には依然として強力な抗コリン作用があり、他の抗コリン薬と一緒に服用すると、全体的な負荷が増加し、せん妄や認知症の副作用を引き起こす可能性がある (論文)。
認知症の高齢者には、うつ病や発生する可能性のある攻撃性を管理するために、抗うつ薬、抗てんかん薬、鎮静薬が処方されることがよくある。
しかし、皮肉なことに、これらの症状を改善するために患者に処方された薬が病気を悪化させる可能性が非常に高いことをブレギン博士は強調した。
精神活性治療のために処方されていない薬も認知症と関連しているとされている。
例えば、アレルギーを制御するために処方される ヒスタミンH1受容体拮抗薬は、一部の人で認知症のリスクを高めることが示されている (論文)。ヒスタミンH2受容体拮抗薬と比較して、一部の H1 遮断薬は血液脳関門を通過し、アセチルコリンの放出を防ぐ作用がある (文献)。
さらに、患者に複数の薬を処方すること(ポリファーマシーとして知られる行為)は、累積的な副作用を引き起こす可能性がある。
老年医学教授のアラン・ムーア氏とショーン・オキーフ氏は、薬物誘発性の神経学的影響について論じた論文の中で次のように述べている (論文)。
「抗コリン作用のある特定の薬を処方されたときに患者が認知障害を発症するかどうかは予測できず、抗コリン作用を持つ可能性のある薬剤などの要因によって異なる」
「研究では、せん妄の発症を決定するのは、単一の薬剤ではなく、抗コリン薬の全体的な負荷であることが多いことが示唆されている」
脳は複雑
市販されている多くの向精神薬は脳を「修復」しようとするが、ベースラインで脳がどのように機能するのかはほとんどが謎のままだ。
向精神薬は脳の化学物質の不均衡を修正するために処方されることが多いが、イェール大学のアブラム・ホームズ教授が 2018年のコメントで、脳には「固定された正常な状態はない」と説明したように、脳の正常な状態が実際にどのようなものであるのかは、研究者たちにも分かっていない。
「私たちが知らない神経伝達物質は何百もあり、おそらく数千の神経伝達物質があるでしょう」とブレギン博士は言う。「精神麻薬の影響を深く受けている患者はほんのわずかですが、製薬業界の製薬会社がその費用を払っているので、研究できるのはこれらの患者だけです」
ブレギン博士は、脳内の生化学的不均衡に対処することを目的とした向精神薬は、実際には脳のさらなる不適応を引き起こすと主張する。
同氏は、セロトニンの除去を阻害することでセロトニンレベルを上昇させる SSRI の例を挙げた。
彼は、SSRI を服用している間、脳が 2つの変化を経験していることを観察した。それは、セロトニン生成の減少と、セロトニン除去システムの力の低下だ。
アメリカの医薬品当局も日本の厚生労働省も共に認める「SSRI 系抗うつ剤は自殺を後押しする」という事実は今や誰もが知っている。なのになぜ処方は続いている?
・「製薬企業は組織犯罪」だと断罪し、発表されている薬の研究報告が虚偽であることを告発し続けるコクラン計画の共同設立者ゲッチェ博士はかく語る
という記事を書かせていただきました。
その内容は大体このタイトルの通りですが、その中で、「 SSRI 」という「抗うつ剤」について少しふれた部分がありました。
その記事そのものは、抗うつ剤を対象にした記事ではなかったですので、あまり詳しくは書きませんでしたが、現在 SSRI 系の抗うつ剤を服用している人は非常に多いと思いますし(推定で数百万人規模)、その関係記事をご紹介しようと思います。
まずは、その記事をご紹介しますので、お読みいただきたいと思います。昨年2月のアメリカの『サイエンティフィック・アメリカン』の記事です。
サイエンティフィック・アメリカンは、Wikipedia に、「一般向け科学雑誌としては世界最古、また現在定期刊行されているアメリカの雑誌としても最古である」と書かれてあるような科学と医学の権威中の権威です。
そして、その記事で取りあげている内容は、最近たまに出てくる英国のブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)の発表で、こちらも医学界の最大の権威です。
これだけの権威と権威が発表した記事だということは、「このことは現在ほとんどの医者や薬剤師、専門家の方々が知っていること」だと思って読んでいただくとよろしいかと思います。簡単に書けば「 SSRI を飲むと死にやすくなる」ということを、です。
ちなみに、タイトルにしました「アメリカの医薬品当局も日本の厚生労働省も共に認める」というのは、SSRI 抗うつ剤と自殺企図の増加の関連についてはそれぞれが公的な文書に記しているためにそう書かせていただきました。
今では医療や保険に携わる人たちはみなが知っていることですが、私たち一般の人はあまり知らないかもしれません。
では、ここから記事です。
抗うつ剤の隠れた害
臨床試験の詳細な分析により、抗うつ剤による自殺企図や攻撃的な態度などのマイナスの作用が過少に報告されている事実が明らかになった
抗うつ剤は最も一般的に処方されている医薬品のひとつだ。全米保健医療統計センター(アメリカ疾病予防管理センターの1部門)による 2011年の報告によると、12歳以上のアメリカ人 10人のうちの 1人が抗うつ剤を服用している。これは12歳以上のアメリカ人の 11%が抗うつ剤を服用していることを示す。
しかし、最近の報告では、これらの薬物の安全性に関する重要なデータ、特に小児および青少年のリスクについての重要なデータは、医療界および一般からも過小に報告されていることが明らかとなった。
先週(2016年1月)、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(以下、BMJ)に掲載された最新かつ最も包括的な分析では、デンマークのコペンハーゲンにある北欧コクランセンターの研究者グループによれば、製薬企業が臨床研究報告書に抗うつ剤の深刻な害や副作用のすべてを記載していないことがわかったのだ。
これらの臨床研究報告書は抗うつ剤の新薬の承認申請の際にアメリカ食品医薬品局(FDA)や欧州医薬品庁 (EMA)などの規制当局に送られた書類でもある。
研究者たちは、「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」と「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)」の 70の異なる二重盲検、プラセボ対照試験の書類を調べ、この調査において、これらの抗うつ剤を使用した小児および青年において自殺思考と攻撃的行動の発生が倍増することを見出したのだ。
BMJ が発表したこの論文では、抗うつ剤の臨床試験の報告書に矛盾があることについての不安な告発が浮上した。
2015年9月の医学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・エピデミオロジー(Journal of Clinical Epidemiology)に掲載された研究では、抗うつ剤研究のメタアナリシス(複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析すること)の 3分の 1が製薬会社の従業員たちによって作成されおり、さらに、これは他の薬剤のメタ研究より 22倍少ない分析となっていた。
同月、別の研究グループは、製薬企業グラクソ・スミスクライン社が資金を提供したパキシル(SSRI に属する抗うつ剤)の 2001年の臨床試験のデータを再解析した際に、青少年に対しての有効性が誇張されていることと「未知の悪影響」の存在が明らかになったと報告した。この研究は、治験に関するより詳細な情報が含まれていた。
この研究グループは、最も有用な情報のいくつかは、報告書に付属書類として掲載されている個々の「患者一覧」の中にあることを発見した。例えば、そのパキシルの報告書自体に「感情的負担」や「うつ病の悪化」による自殺企図が患者の記述の中にあることが明らかになったのだ。
しかし、この情報は 70回の試行のうち 32回しか利用できなかった。コクラン計画のこの研究の主任著者であるタラン・シャルマ(Tarang Sharma)氏は、以下のように述べる。
「付属書類の多くは、当局に要求された場合にのみ利用可能なのです。もし、私が完全なデータを手にしていれば、実際の(パキシルの副作用の)状況が、どれほど悪いものかということについてわかったかもしれず、それは実際には恐ろしいことでもあります」
この研究について、ロンドン大学の精神科医ジョアンナ・モンクリーフ(Joanna Moncrieff)氏は、「この研究は、抗うつ剤の完全な害と副作用が報告されていないということを確認したものだと思われます。薬剤規制当局への臨床試験報告で適切に報告されていなために、それらの害は公表されている(抗うつ剤の)文献には報告されていないのです」と述べる。
抗うつ剤の「ブラックボックス」を開くために
臨床試験報告書にアクセスすることは簡単なことではない。
コクラン計画の臨床研究者で最近の研究の共同著者であるピーター・ゲッチェ氏は、2007年に抗肥満薬に関して、欧州医薬品庁 (EMA)からこれらの臨床試験ファイルを取得する試みを最初に行った人物だ。
「 EMA はこれらの臨床報告の提出を断固として拒否しました」とゲッチェ氏は言う。
ゲッチェ氏は続けて以下のように述べた。
「彼らは商業的な機密性があるから(臨床報告書を渡すことはできない)ということで話していましたが、これらの臨床報告書には商業的秘密と関係するものはまったくありませんでした」。
「私たちは、この書類の中のすべての秘密が実際に人の命を犠牲にするのだと説明しましたが、EMA はそのことにはまったく興味がないようでした」
その後、ゲッチェ氏は、欧州連合(EU)機関に対して、臨床データの請求のための要請と申請をおこなったが、要請が通ったのは3年後のことだった。
3年後にゲッチェ氏のチームは臨床データを受け取り、EMA は今後、臨床試験関連のデータへの一般のアクセスを拡大していく方針を宣言した。
これは 2010年の出来事で、ゲッチェ氏がヨーロッパで起こしたこの画期的な成功は、アメリカではまだ起きていない。
ゲッチェ氏は、業界の影響を受けていない人たちによる薬剤の評価を行うために、研究者たちが臨床試験のデータにアクセスする必要があると述べている。
抗うつ剤への再評価が必要な時か
以前からの多くの研究で、抗うつ薬の使用による自殺企図の増加が見られたため、2004年にアメリカ食品医薬品局は、これらの薬物に「ブラックボックスの警告」をつけることを義務づけた。ブラックボックスの警告というのは、最も重大な副作用に備えてつけられたラベルのことだ。 EMA も同様のアラートを発行した。
過去に公表された事例研究を含む論文では、パキシルの副作用としての攻撃的行動に関するヒントが存在していたが、今回の BMJ の研究は、小児および青年の攻撃的行動の増加を記録する最初の大規模な研究といえる。
精神科医のモンクリーフ氏は以下のように言う。
「アメリカや他の国で、頻繁に抗うつ剤を服用している人が多い場所での学校での乱射や暴力事件についての議論が非常に重要だと思います」
抗うつ剤がうつ病に対して「プラシーボ(偽薬)よりわずかに優れた効果を持つ」ことを示唆する研究を含めて、この薬剤の長所と短所を論じるさまざまな研究を合わせた上で、SSRI を含む抗うつ剤について再評価する時期だと専門家たちは言う。
モンクリーフ氏はこのように述べた。
「私の見解では、抗うつ剤がうつ病に対して効果的であるという十分な証拠はなく、むしろ有害であるという証拠が積み上がり続けています」
「なので今、私たちは時間を巻き戻して、このような薬剤の処方の増加傾向を止める必要があるのだと思うのです」
ここまでです。
なお、この記事には「アメリカで SSRI の抗うつ剤を服用している人は、12歳以上の 11%にあたる」とあります。
アメリカの 12歳以上の人口はわからないですが、「成人の人口が 2億3000万人」ですので、非常に少なめに考えても、
「アメリカでは 2000万人以上が抗うつ剤を服用している」
ということになります。
そして、これら SSRI 系の抗うつ剤には、
・自殺
・他人に危害を与える攻撃的な行動
だという重大な副作用が顕著にあるということが臨床結果に「記されていないまま」新薬試験を通ったということが書かれてある記事でした。
「抗うつ剤の増加と自殺の増加の関連性」に関しては、日本でも「数字」として現れています。
たとえば、 6年前の記事ですが、NEWポストセブンの「1998年以降抗うつ薬の売り上げ増加と自殺者激増が一致 」には以下のようなくだりがあります。
2011年9月28日のNEWポストセブンの記事より抜粋
自殺者の家族などが集まる全国自死遺族連絡会が2006年7月から2010年3月に自殺で亡くなった方1016人の遺族に聞き取り調査したところ、約7割にあたる701人が精神科の治療を継続中だった。
また、東京都福祉保健局が自殺遺族から聞き取り調査をして2008年に発表した自殺実態調査報告書でも、自殺者のうち54%が「精神科・心療内科の医療機関」に相談していたことがわかっている。
実は国の調査でも自殺事例43事例のうち、20事例(46.5%)において死亡前1年以内に精神科受診歴が認められていた。平成21年度版の自殺対策白書はその事実を記し、こう指摘する。
<これは、従来から指摘されている、「自殺既遂者の9割以上がその直前には何らかの精神障害に罹患した状態にありながら、精神科治療につながっているのは少数である」という知見と、矛盾する結果である>
つまり、こうしたデータは、精神科・心療内科の受診が自殺防止につながっていないことを意味する。むしろ後述するように、受診が自殺を後押ししている可能性があるのだ。
もっと短く書けば、「自殺者の 7割が精神科の治療を継続中だった」ということは、精神科に通うことが自殺を抑止していないということでもあり、その最大の理由は、 SSRI (抗うつ剤)の処方だと今は言えるかと。その中の何人かは、抗うつ剤さえ服用して「いなければ」自殺を防げたかもしれないことがコクランが明らかにした「実際の臨床データ」でわかるかと思います。
そのような SSRI 系の抗うつ剤の日本での処方量は下のグラフの通りで、「空に飛び立つ鳳凰のような上昇」を見せ続けています。

SSRI が発売されたのが 1999年で、そこから抗うつ剤の処方量が急上昇していることがわかるかと思います。うつ病で自殺する人の数もそこから大きく増えました。
まあ、これ以上いろいろと書いても感情的になるばかりかもしれないですので、このあたりにしておきます。
感情よりも「現実」をお伝えしたい・・・というか、仮に現時点で、そういう抗うつ剤のようなものを服用したり、そういう方と関係のあるような方は、今回のサイエンティフィック・アメリカンの記事をお読みになって考えてほしいと思うのです。
私自身はかつて精神医療にベンゾジアゼピン漬けにされましたけれど、幸いなことに SSRI は拒否し続けたので、今こうしています。
何十年も前に SSRI の害など知りようがないですが、どんな処方された薬剤でも平気で飲んでいた私が、SSRI だけは絶対に処方を拒否しました。
実際にお医者様から「 今は SSRI っていう良い薬があるんですよ」と言われたことは何度もあります。
[関連記事] 意図して書き始めたわけではないけれど、話はナルコレプシーと脳萎縮と「30年間におよぶベンゾジアゼピン系薬物依存」のことへと転がる石のように
それにしても・・・。
少し前に、
・WHOさえもインフルエンザの治療ガイドラインから永久に削除することを決めた「タミフル」がなぜ日本ではいまだに処方され続けるのか
という記事を書きまして、その中に、「専門家たちも医師たちもタミフルについて出された最新の研究結果を知っているはず」だと書きました。それはこの抗うつ剤にも当てはまるような気がしまして、つまり、ほとんどのお医者様たちは「服用すれば何倍も自殺企図の可能性が増える」ということを知っていて処方しているというのは・・・やはり何となく切ないです。
確かに誰もが仕事でお金を得て生活していかなければなりません。政治家は政治をして、八百屋さんは野菜を売る。裁判官は裁判をして生活し、歌手の人は歌を歌って生きている。そして製薬会社の人は薬を作り、お医者様はそれを処方して生活する。
人がそのように生きていくことを誰にも非難することはできないにしても、切なさはややあります。これは自分が多少当事者の面があるからかもしれません。
まあそれでも、人を非難するという気持ちにはなりません。
それよりも、それぞれの方が「自分が抗うつ剤のようなものを処方されることになった場合にどうするか」ということをサバイバル的に考えていただければと思います。
この厳しい時代に、「まるでうつ病のような状態」になることは誰にでもあり得ることです。そして、そういう時に「叩いてはいけない扉がある」ということを考えていただきたいと思います。
120種以上の「普通の」処方薬に「自殺念慮を引き起こす副作用がある」ことがアメリカ薬剤師協会の報告で明らかに
処方薬と共に生きたジャンクライフからの曖昧な脱却
処方薬」の話を書くことが多かった気がします。
最近では「ベンゾジアゼピンの使用と断薬が、自殺念慮と関連している」ということを記事にさせていただいています。
なぜ薬に関して、報道やデータに興味があるかといますと、その 7、8年くらい前まで、私自身が大層な処方薬漬けの人生だったからですね。
小児ぜんそくなどから始まり、ほぼ生まれて以来、ずっと体が弱かったために、幼少期から非常に多くの種類の処方薬を服用していた上に、青年期からはベンゾジアゼピン系の抗不安剤というような精神神経系の薬も加わり、処方薬ワンダーランドの様相の中で生きたのでした。
もちろん、処方薬には恨みも非難の思いもまったくありません。ぜんそくの頓服があったからこそ呼吸が止まらずにいたわけですし、二十代から三十代に表現活動をできていたのも、ベンゾジアゼピンでパニック障害を抑えていたからこそであり、感謝こそすれ、恨みなどありません。
ベンゾジアゼピンで脳は萎縮してしまいましたけれど(今の大脳の大きさは草食恐竜程度)、全体として、いい人生を過ごすことができました。
しかし、2015年くらいからでしたか、このブログを書くために読んだいくつかの著作や論文などで、
「なーんか全体的にだまされていた感じがする (^0^) ← なぜ笑う」
ということに、やっと気づいたのですね。
もちろん大事な薬はあるでしょうが、処方薬の多くはスカムでありジャンクであることに、数十年かかって気づいたようです。
最近、米ナチュラルニュースで、「アメリカのうつ病率の急上昇は 処方薬の使用増加と関連している」という内容の記事があり、引用されている資料もわりと的確なものでしたので、読みましたが、うつ病を誘発するという可能性のある
処方薬の多さにも多少は驚きはしましたが、
「自殺念慮を引き起こす処方薬がものすごくたくさんある」
ことに驚きました。
そこに、アメリカ薬剤師協会の公式ジャーナルである「米国薬剤師協会雑誌」に 2016年に発表された論文が引用されており、それによれば、
「アメリカで処方されている処方薬のうち 125 種に自殺念慮や自殺行動を引き起こす可能性があると FDA からラベル付けされている」
ことが記されているということでした。
ラベル付けされているというのは、警告として正式に記載されているということですが、それが 125種類もあるようです。
それとともに、「自殺念慮は伴わないが、うつ状態を引き起こす可能性がある処方薬」が、同じ程度あります。
「こんなにあるのかよ」
と思わざるを得ないですが、問題は「多くは日本でも処方されている」ものだということです。
ナチュラルニュースの記事には、FDA がラベル付けした処方薬の商品名の一覧がリストされているのですが、最初はそこから抜粋してご紹介しようかと思ったのですが、
「すべてを引用」
します。
アメリカでの販売名になっているものは、日本での販売名もできる限り併記します。
その理由は、日本も、アメリカ同様に、大変な数、率の方々が、病院の処方薬を服用されていると思うからです。
それらの中には、
「自殺行動という副作用」
があるものが、ほんの少しだとしても「ある」のです。
ちなみに、アメリカの場合は、以下のような率で人々が 処方薬を服用しています。ナチュラルニュースの記事の冒頭です。
「これらの処方薬はうつ病のリスクを高める可能性がある」より
米ジョージタウン大学医療政策研究所によれば、非常に多くのアメリカ人(1億3,100万人以上)が処方薬を使用している。
これは、2021年時点で、米国の全成人の約 66%が、関節炎、がん、糖尿病、心臓病、高血圧の 5つの一般的な慢性疾患のいずれかを患っていることと関係している。データによると、関節炎患者の 89%と糖尿病患者の 98%が処方薬に大きく依存していることが示されている。
実際、糖尿病を患う成人は、一般人口の約 4倍の処方薬を必要とする。
2020年の時点で、アメリカ食品医薬品局 (FDA)は 20,000を超える処方薬の販売を承認しており、主な薬剤クラスは降圧薬、鎮痛薬、精神科薬だ。
処方薬は非常に普及しているにもかかわらず、それらの使用にはいくつかの欠点があり、その主なものはコストの上昇と深刻な副作用だ。
アメリカの研究者たちによる 2014年の研究では、2009年から 2011年にかけて、処方薬、特に精神科薬の使用による有害事象により、89,000人以上が救急外来を受診し、そのうち 19.3%が入院となったことが判明した。
うつ病や自殺行動も、処方薬の使用に伴う最も一般的な副作用の一つだ。
2016年の研究によると、FDAは 125以上の処方薬に自殺念慮や自殺行動を引き起こす可能性があるとラベルを付けた。
JAMAに掲載された最近の研究で確認されたように、うつ病を引き起こす副作用のある 1つまたは複数の薬剤の使用は米国の成人の間で一般的であり、そして、全体のうつ病の推定有病率は年々増加傾向を示している。
処方薬を服用している人の数はアメリカと同じ程度か、あるいは、アメリカより高いように思います。日本は、一般的な薬に関しては薬価が比較的安価であることや、また、日本での「現代医療の神格化」は、アメリカ以上に進んでいると感じています。
そして、一部の方々を除けば、「医療者たち自身がこの医療宗教を信奉している」ために、その根本的な問題を見つめることはあまりなくなっている。
[記事] 医師から一般の人々まですべてを貫く「医療の宗教化」は、医療教育でのマインドコントロールから始まる。そしてその歴史
In Deep 2022年11月15日
処方薬」と、「自殺念慮を引き起こす可能性がある処方薬」のリストを掲載します。
なお、ブログの過去記事の薬の記事については、以下のようなカテゴリーにそれぞれあります。
ここからリストです。
うつ病と自殺念慮のリスクを高める可能性がある処方薬
naturalnews.com 2023/07/07
うつ病のリスクを高める可能性のある処方薬
以下は、 JAMA研究が抑うつ(自殺念慮を伴わない)症状を引き起こす可能性について調査した薬剤のリストだ。
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鎮痛薬:シクロベンザプリン(日本では非承認)、フェンタニル (オピオイド)、アセトアミノフェン (日本のカロナール)、ヒドロコドン (オピオイド)、イブプロフェン、インドメタシン、モルヒネ(オピオイド)、ナブメトン、オキシコドン (オピオイド)
降圧剤:テノーミン、クロルタリドン(日本では非販売)、ベタキソロール、ベンドロフルメチアジド、ナドロール、ブリモニジン、ブリモニジン (眼圧を下げる薬)、チモロール (眼圧を下げる薬)、ドルゾラミド (眼圧を下げる薬)、エナラプリル、ヒドロクロロチアジド、メトプロロール、ヒドロコドン (オピオイド)、メトラゾン (利尿剤)、ニソルジピン、キナプリル、ミカルディス、
副腎皮質ステロイド薬 (主に抗炎症や免疫抑制薬): ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニン、レダコート
胃腸薬:アトロピン、ジフェノキシレート (オピオイド)、シメチジン (H2ブロッカー)、デクスランソプラゾール、エソメプラゾール、ファモチジン(H2ブロッカー。ガスター10の成分)、オメプラゾール
ホルモン/ホルモン修飾剤: (※ ちょっと多すぎて羅列とさせていただきます) アナストロゾール、ビカルタミド、カベルゴリン、抱合型エストロゲン、メドロキシプロゲステロン、デソゲストレル/エチニルエストラジオール、ジエノゲスト、ドロスピレノン、レボメ葉酸、エステル化エストロゲン、メチルテストステロン、エストラジオール、エストロピペート、エチニルエストラジオール、エトノゲストレル、レボノルゲストレル、ノルゲスチメート、ノルゲストレル、エトノゲストレル、エキセメスタン、ゴセレリン、ヒドロキシプロゲステロン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、ノルエチンドロン、タモキシフェン、テストステロン
呼吸器官: セチリジン (抗ヒスタミン薬)
他の治療薬:
・HIV/エイズ - アバカビル/ラミブジン、エムトリシタビン、マラビロック
・高血圧剤 - アセブトロール、クロニジン (血液脳関門を比較的容易に通過すると書かれています)、
メチルドーパ、メトラゾン、プラゾシン (交感神経遮断薬)、プロプラノロール
・乾癬 - アシトレチン
・注意欠陥多動性障害 / ADHD - アンフェタミン (いわゆる覚せい剤の成分です)、デキストロアンフェタミン、デクスメチルフェニデート
・筋肉の収縮 - バクロフェン、オキシブチニン、ダントロレン、チザニジン
・肥満 - ベンズフェタミン、フェンテルミン
・副甲状腺機能亢進症 - シナカルセット
・免疫抑制剤 - シクロスポリン
・認知症/アルツハイマー病 - ドネペジル、ガランタミン
・食欲不振 (HIV/AIDS および癌誘発性) - ドロナビノール
・がん - エルロチニブ、ソラフェニブ
・不整脈 - フレカイニド、プロパフェノン
・統合失調症 - フルフェナジン (フルメジン)、ハロペリドール (セレネースなど)
・細菌感染症 - メトロニダゾール
・トゥレット症候群、抵抗性チック - ピモジド
・パーキンソン病 - ラサギリン、ロチゴチン
鎮痛薬:アセトアミノフェン (日本のカロナール)、トラマドール (オピオイド)、ヒドロモルホン (オピオイド)、タペンタ (オピオイド)、トラマドール (オピオイド)
抗けいれん薬:カルバマゼピン、クロナゼパム (ベンゾジアゼピン系)、ジアゼパム (ベンゾジアゼピン系)、エトスクシミド、ガバペンチン、ラモトリジン、レベチラセタム、ロラゼパム (ベンゾジアゼピン系)、メトスクシミド、オクスカルバゼピン、フェニトイン、プレガバリン、トピラメート、バルプロ酸、ゾニサミド
抗うつ薬: アミトリプチリン (三環系)、アミトリプチリン (三環系)、クロルジアゼポキシド (ベンゾジアゼピン系)、アミトリプチリン、ペルフェナジン、ブプロピオン、シタロプラム (SSRI)、クロミプラミン、デシプラミン (三環系)、デスベンラファクシン、ドキセピン、デュロキセチン (SNRI)、エスシタロプラム (SSRI)、フルオキセチン (SSRI)、オランザピン、フルボキサミン (SSRI)、イミプラミン(三環系)、ミルナシプラン (SNRI)、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン (SNRI)、パロキセチン (SSRI)、フェネルジン、プロトリプチリン (三環系)、セレギリン、セルトラリン (SSRI)、トラゾドン、ベンラファキシン (SNRI)、ビラゾドン
抗不安薬、睡眠薬:アルプラゾラム (ベンゾジアゼピン系。商品としてソラナックス、コンスタンなど。参考記事)、ブタバルビタール、クロルジアゼポキシド (ベンゾジアゼピン系。コントール、バランスなど)、クロナゼパム (ベンゾジアゼピン系。リボトリールなど ← 私が処方されていました)、クロラゼプ酸(ベンゾジアゼピン系。メンドンなど)、ジアゼパム(ベンゾジアゼピン系。セルシン、ホリゾンなど)、ドキセピン (日本は非発売)、エスゾピクロン(ベンゾジアゼピン系。ルネスタなど)、フルラゼパム(ベンゾジアゼピン系。ダルメート、ベノジールなど)、ペントバルビタール、ラメルテオン、トリアゾラム (ハルシオン)、ザレプロン、ゾルピデム(ベンゾジアゼピン系の睡眠薬)
胃腸薬:メトクロプラミド
ホルモン/ホルモン調整剤: フィナステリド、ロイプロリド、レボノルゲストレル、オキサンドロロン、プロゲステロン
呼吸器系薬剤: モンテルカスト、リバビリン、ロフルミラスト、ザフィルルカスト
他の治療薬:
・アルコール依存症治療薬 - アカンプロサート、ナルトレキソン
・パーキンソン病 - アマンタジン、カルビドパ/レボドパ、カルビドパ/エンタカポン/レボドパ
・ナルコレプシー/睡眠障害 - アルモダフィニル、モダフィニル
・統合失調症、躁病、双極性障害 - アリピプラゾール、アセナピン、イロペリドン、ルラシドン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン
・注意欠陥多動性障害 / ADHD - アトモキセチン、メチルフェニデート (リタリン、コンサータなど)
・細菌感染症 - シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、オフロキサシン
・ハンセン病 - ダプソン
・HIV/エイズ - エファビレンツ、エファビレンツ/エムトリシタビン/テノホビル、ラルテグラビル
・多発性硬化症 - インターフェロン ベータ-1a、インターフェロン ベータ-1b、ナタリズマブ
・重度のニキビ - イソトレチノイン、
・認知症、アルツハイマー病 - メマンチン、リバスチグミン
・マラリア - メフロキン
・C 型および B 型肝炎 - ペグインターフェロン アルファ-2a
・肥満治療 - シブトラミン、
・禁煙補助薬 - バレニクリン
ここまでです。
処方薬は、どれも非常に一般的なものであり、日本でもかなりの数の人々が服用していると思われます。
副作用ですから、率や頻度は低いとはいえ、自殺念慮を引き起こす可能性のある
処方薬がこんなにもあるようです。
うつ病を予防する最も強力な因子は「人とのつながり」であることをアメリカの研究者たちが最新のデータ解析技術を使用して突き止める
人間には人間が必要だという根本的な原則
今回のパンデミックへの各国の対策ロックダウンの凄惨な影響などを見ている中で、改めて知ったことが、
「人と人とのつながりが、心身の健康には最も重要」
だということだったかもしれません。
もちろん、ロックダウンや緊急事態宣言などでの経済的被害そのものもひどいもので、それにより精神的な強い影響を受けている方々は日本も世界にもたくさんいらっしゃるとは思います。
昨日も、企業の倒産状況を伝える帝国データバンクの記事で、「居酒屋の倒産、コロナ禍背景に急増 過去20年で最多更新が確実」というものがありましたが、緊急事態宣言が出された後の売上の推移は以下のような感じですから、たまったものではないと思います。
日本の飲食業の売上の推移

帝国データバンクが扱うのは、あくまで「倒産」であって、自主的な廃業などは含まれませんし、また非常に小さな個人店なども数値に入らないですので、実際にはこれどころではないと思われます。
しかも、生活全体に対しての影響(マスクとか社会的距離とか)が、今でも基本的に変化していないですので、この先も明るい展望を探りにくいようにも感じます。
私の住んでいる周囲でもチェーン店も個人の店も含めて、複数閉店していっています。
・・・まあ、ただ。
実際には、パンデミック前とまったく変わらず繁盛している個人店は数多くありまして、何かご迷惑があるとあれですので、どのあたりのどんな店だとかは絶対に書けないですが、そういう繁盛しているお店の特徴は「以前とまったく同じにやっている」ことです。
そういう焼き鳥屋さんの前なんかを通ると、店の中はびっしりとオジサンたちで埋め尽くされていて、みんな楽しそうにチューハイとか飲んでガハガハ笑っている。
そういうお店は複数見聞していまして、むしろ以前より混んでいて店に入ることがないことが多いというようなお店もあります。
そういう店に共通なのは「健全」という概念であり、「人と人とがガハガハと交流している」ということで、たとえば、ただお酒を飲みたいのであれば、部屋で飲んでもいいでしょうけれど、「ガハガハ」したい。
今回の日本の政策では、とにかく「夜の街」が攻撃され続けていましたが、考えてみれば、
「そもそも、どうして夜の街に人は行くのか」
という根本には「人に会いたい」という単純な心理があります。夜の街というと、クラブとか女の子のいるような店を想像されることが多いかもしれないですが、「夜の街という場所に行くこと自体」が、どこかで、人との交流を心が望んでいるからで、私などは昔から、「夜の街を行き交う人々をぼんやり眺める」というのが好きでした。
人との直接的な交流ではなくとも、どうやら、「人々(マスクをしていない人)を見ているだけで心理的に救われる」という面もあるのかもしれません。少なくとも私にはあります。
その「人との接点が突然絶ち切られた」のです。今回の場合。
これが人の精神状態に良い影響を与えるわけはないことは、以前から書いていましたが、社会は多くが「そちらに進んで」しまった。
そして、これはアメリカの例ですが、以下のような過去の記事でも書きましたように、ロックダウン中のアメリカ人のメンタルは、壊滅的なものとなってしまった。
絶望の未来は今:CDCの調査でアメリカ人の3分の1がロックダウン中にうつ病を発症していたことが判明。あまりの患者の急増に「抗うつ剤の枯渇」も
投稿日:2020年6月9日「過去4週間で1年間分の自殺企図と遭遇しました」:アメリカで爆発する自死の波。そして、ロックダウン緩和後もさらに増加し続ける失業率
投稿日:2020年5月23日
以前も書いたことがありますが、PTSD を始めとするメンタルの問題は、「後になってから出てくる」のが普通です。
これに対しての影響は、かなり早い段階から、日本でも精神医学の専門家たちが、とても危惧していました。
国際医療福祉大学大学院の和田 秀樹教授は、今年 5月にプレジデントに「コロナ死よりはるかに多い「外出自粛死」「経済自粛死」の恐怖」という記事を書かれていますが、その中に、以下のように記されています。
過大なストレスや苦難に見舞われた場合、人は最初の1カ月くらいは気が張っているが、それ以降にうつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)のような症状が急に増え始めるとされている。 (president.jp)
また、それと共に、和田教授は、このような「社会の状態」を招いたことに対して、アメリカの実験心理学者であるアーヴィング・ジャニスという人による「集団的浅慮」という思考パターンを述べていまして、たとえば、その集団的浅慮というものの結果として、
「その社会の人々がどのようになる傾向があるか」
ということを述べています。
アーヴィング・ジャニスさんによれば、このような集団的浅慮に陥った社会の人々の行動パターンは、以下のようになるそうです。
集団的浅慮の状態になった社会集団の行動パターン(アーヴィング・ジャニス)
・自分たちは無敵だという幻想が生まれる
・集団は完全に正しいと信じるようになる
・集団の意見に反対する情報は無視する
・ほかの集団はすべて愚かであり、自分たちの敵だと思う
・集団内での異論は歓迎されない
・異論があっても主張しなくなる
まさに「今これ」という感じで、そして、緊急事態宣言や各国のロックダウンの後も、この状態が連綿と続いているわけです。
特にこの中の、
> 異論があっても主張しなくなる
というのは、本当に感じます。
しかし、国家や社会というものは、それが発展するために、「個人個人の精神的な健全をどれだけ保つか」ということを目標にするものだと思うのですが、そこから考えますと、世界のさまざまな国での「対策」は、本当に問題だったと思います。
しかも、先ほどの居酒屋の売上の例を見てもわかりますが、この集団的浅慮が社会で続く限り、何も復活しないはずなのです。
たとえ来年になろうが、基本的な部分で変化する(あるいは元に戻る)余地がなくなってしまう。
今でも専門家の方々には、この状況の問題ついて発表されている方々も多いです。9月8日のやはりプレジデントには、熊代 亨さんという精神科医の方が文章を寄稿していまして、その締めは以下のようなものでした。
どんなに健康的で清潔で道徳的な生活を実現しても、人間は、コミュニケーションする動物としての性質をそうそうやめることはできません。
やめるべきでもないでしょう。
今、私たちが感じている窮屈さやストレスは、人間にとって必要不可欠なコミュニケーションとはどういうものなのかを教えてくれていると思います。感染症が一段落したら、ですが、私たちはそれを取り戻しにかかるべきではないでしょうか。 (president.jp)
ここにありますように、
> 人間は、コミュニケーションする動物としての性質をそうそうやめることはできません。
という部分が、人間が、その文明の中に、たとえば夜の街というものを作って……あるいは夜の街ではなくても何でもいいです。社交ダンスでも昼麻雀でも昼カラオケなんでもいいのですが、人とのつながりの場を作り続けてきた。
この「人とガハガハと過ごしたい」というのは、
「コミュニケーションする動物としての性質を持つ人間の本質」
なのだと思います。
その人間の本質を攻撃されたわけです。
まあ、やや意地悪な部分からいえば、「そういう人間の性質を知っていて、だからこそ行った」というようなことも、日本はともかくとしても、「どこかの国」ではあるのかもしれません。
人間を弱らせるのは簡単であることがわかります。
人と人とを物理的に離してしまえばいいのです。
コミュニケーションを断ってしまえばいいのです。
今回は、アメリカのマサチューセッツ総合病院やハーバード大学公衆衛生学部などの研究者たちが発表した論文を紹介していた医学記事で締めさせていただきます。
「うつ病を予防する最大の要因は、人とのつながり」
という結論を、膨大なデータベースから調べ上げたものです。
ここでは「うつ病」に特化した論文ですが、精神衛生全体において同じようなことが言えると思われます。
今回のパンデミックでは、その「人とのつながり」が強制的に断ち切られたわけで、今後も、精神衛生的な問題は拡大し続けると思われます。
ここからです。
研究は社会的つながりをうつ病の最も強力な保護因子として特定した
Study identifies social connection as the strongest protective factor for depression
medicalxpress.com 2020/08/14
マサチューセッツ総合病院の研究者たちは、成人のうつ病を予防するための貴重な目標を表すことができる 100を超えるうつ病の因子のカテゴリーから、変更可能な(予防として実行できる)一連の要因を特定した。
アメリカ精神医学雑誌 ( The American Journal of Psychiatry )で発表された研究で、研究チームは「社会的つながりが、うつ病を予防する最も強力な保護因子だ」として挙げた。
また、テレビを見ることを減らすこともうつ病のリスクを下げるのに役立つ可能性があり、それと共に、座りがちな生活を減らすこともうつ病のリスクを下げるのに役立つ可能性があることを示唆した。
ハーバード大学公衆衛生学部の精神医学研究者であり、この論文の筆頭著者であるカーメル・チョイ博士(Karmel Choi, Ph.D.)は以下のように述べる。
「うつ病は世界中でメンタル障害の主要な原因となっていますが、これまで研究者たちは、ほんの一握りのリスク要因と予防の要因のみに焦点を合わせてきていた傾向があります。多くの場合、 1つまたは 2つのリスクや予防の分野のみを調査してきていました」
「私たちのこの研究は、うつ病のリスクに影響を与える可能性のある修正可能な要因の最も包括的な状況を提供したものだと思います」
そのために、研究者たちは 2段階のアプローチを採用した。
最初の段階では、世界的に有名な成人のコホート研究である UK バイオバンク (遺伝的素質やさまざまな環境曝露が疾患に対して与える影響を調査するイギリスの大規模バイオバンク研究)の 10万人分以上の参加者のデータベースを利用し、社会的相互作用やメディア、睡眠、食事、身体活動、および環境など、うつ病のリスクに関連する可能性のあるさまざまな修正可能な要素を体系的にスキャンした。
これは「全エクソン関連解析(ExWAS)」として知られている手法で、この方法は、ゲノム全体の研究の「ゲノムワイド関連解析(GWAS)」と類似している。
ゲノムワイド関連解析は、疾患の遺伝的危険因子を特定するために広く使用されている。
第2段階では、全エクソン関連解析から変更可能な最強の候補を選び、メンデルランダム化 (MR / 因果関係を明らかにする生物学の方法)と呼ばれる手法を適用し、うつ病リスクと因果関係がある可能性のある要因を調査した。
メンデルランダム化とは、相関が単なる相関ではなく因果関係を反映する可能性が高いかどうかを判断するための自然な実験の一種として、人々の間の遺伝的変動を扱う統計的手法だ。
この 2段階のアプローチにより、研究者たちは、うつ病の主要な原因となる可能性のあるターゲットのフィールドを絞り込むことに至った。
研究者は以下のように言う。
「遠く離れたそれぞれの要因の最も顕著な要因は、そのすべてが、家族や友人との訪問を含んだ、社会的つながりと社会的結束が、うつ病の重要な保護効果となるということを浮き彫りにしました」
「人とのつながりがうつ病の予防と密接に関係している要因だと判明したということは、(パンデミックの中で)社会的距離が離れており、そして、友人や家族から離れている今の時期には、これまでになく重要なことかもしれません」
また、うつ病のリスクに関連する要因には、「テレビの視聴に費やされた時間」が含まていた。しかし、そのリスクがテレビの視聴そのものによるものか、他の要因(テレビを見ている時に座りがちになることなど)なのかを判断するには、追加の調査が必要であると著者は述べている。
さらには、もっと意外なことには、昼寝と、マルチビタミンの定期的な使用の傾向はうつ病のリスクと関連しているように研究では見えるが、これらもどのようにうつ病に寄与するかを判断するにはさらに調査が必要だろう。
ここまでです。
全エクソン関連解析などという初めて聞く用語が出てくる大研究だったようですが、その解析から出た最も「うつ病と関係する要因」は、
・人とのつながり
だったということです。
それが少ないと、うつ病のリスクが高まる。
他に、
・テレビを長時間視聴する
・マルチビタミンを摂取している
というのも、要因の因果関係はわからないながら、それぞれうつ病のリスクと関係しているようです。
以前、過去記事で、英ロンドン大学の研究者たちの「過剰なテレビの視聴は認知症の進行と関係している」という研究を以下の記事で取りあげたことがあります。
多大なテレビ視聴が高齢者の認知症を増加させている可能性がロンドン大学の研究により判明。そして、脳はいつでも「静かな状態」を望んでいる
投稿日:2019年3月7日 更新日
テレビを見れば見るほど、「言語の記憶が減少する」傾向がはっきりしたのだそうです。
こういう問題と共に、今やテレビは、先ほど書きました「集団的浅慮」を喧伝する最大のメディアとなっていますし、できれば、あまり見ないほうがいいのは確かだとは思います。
そして、何より今の時代は、人とのつながりを何とか保持する、ということが最大のサバイバル的行動であるようです。