二地域居住先導的プロジェクト実装事業について

高畠町は5月28日に都市と地方に生活拠点を持つ「2地域居住」を推進する国の構想に呼応し、2地域居住の「推進宣言」を行いました。その際のプレゼン内容を以下に備忘録します。
〇高畠町と株式会社あわえ等で組織する「学び」における二地域居住促進コンソーシアム
(以下、コンソーシアム)において、国交省の令和6年度補正予算 二地域居住先導的プロジェクト実装事業へ事業申請し、この採択を受けて実施するもの。
〇採択状況
応募団体32団体
交付決定団体26団体(R7.3.26国交省 国土政策局地方政策課資料により)
※県内では、高畠町及び鮭川村が採択
◎申請への経緯
高畠町では、これまで、国の地方創生交付金等を活用し、熱中小学校プロジェクト、デュアルスクール事業、町外者一時保育、高畠高校への県外入学生の受入環境整備、そして東京大学や東京外国語大学、横浜市立大学等の首都圏大学生のフィールドワーク等受入を行ってきた。
これにより、町外からの「0歳から22歳までの学びの受入環境」が整備され、全国でも類を見ない状況となっている。
このような中、国交省は、「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年11月1日施行)を策定し、二地域居住を促進し、地方への人の流れの創出、拡大を目指し、二地域居住先導的プロジェクト実装事業の公募を実施。
本町では、デュアルスクール事業等の取組みを通して、二地域居住増加に向けて取り組んでいる。
国交省の公募事業の採択を受け、この中で「特定居住促進計画」を定め、二地域居住について進めていくことは、本町の取組みとも合致すること、また、この計画を持っていることは、将来的に、新しい地方経済・生活環境創生交付金(第2世代交付金)申請時に有利になることから、事業申請を行ったもの。
〇主な事業の内容
・二地域居住促進における中長期的な課題解決に向けた取組みの実施にあたっての実施計画の策定(特定居住促進計画)。
・他地域から多数就学を受け入れするための調査や戦略の立案。
・デュアルスクールの持続可能な制度化に向けた検討。
デュアルスクールについて
デュアルスクール受入事業・・・デジタル田園都市国家構想交付金
地方創生推進タイプ交付金により実施
■R4年度:受け入れるにあたっての仕組みの構築
■R5年度:東北初となる受入実施 R6.1.14~R6.1.19 5日間
■長崎県諫早市から3名(母親、小1児童、幼児年長)高畠町立和田小学校で受入幼児については和田地区にあるなごみこども園で一時保育対応
■宿泊施設 ゆうきの里さんさん(コテージ)
R6年度:
■受入時期:7月(二小、2年1人、5年1人)、9月(二小、1年1人、2年1人、4年1人)、
11月(二小、2年1人) 1月(二小、1年2人 和小、4年1人)※期間はいずれも2週間
■受入件数:6家族18人(二井宿小5家族、和田小1家族)※未就学児を含む
■宿泊施設:割烹旅館さが江屋、旅館エビスヤ、ゆうきの里さんさん
■受入制度:体験入学型(住民票異動、転校手続きが不要となる実施方法。在籍校と受入校の両校で「覚書」を交わすことで、体験入学の課題である、事故発生時の責任の所在や出席日数の取り扱い等の問題の整理を行った。)
人財育成を軸とした官民協働のまちづくり ~日本一 人を育てるまち~
【第2世代交付金採択事業(旧デジタル田園都市国家構想交付金地方創生推進タイプ)】
高畠町は人口減少が進み、2024年に消滅可能性自治体に追加されました。町は行政主導のまちづくりに限界を感じ、町民、企業、行政が協力する新たなアプローチを進めています。「官民協働のまちづくりプラットフォーム」の組織化を見据え、地域課題解決のための起業・創業支援、県外生との交流による小中高連携による町教育の魅力化、子育て支援の3つのプロジェクトを先行的に立ち上げ、官民協働による持続可能なまちづくりを目指す。
【課題や現状】
• 複雑化する地域課題。行政依存。情報共有や協働を促す町内規模のプラットフォームがない(取組①)
• 経営者の高齢化、後継者不足、既存の仕組みでは他分野連携が起こりにくい(取組②)
• 地域の魅力を知らずに若者が域外に流出、出生率も年々減少し年間100人を切る(取組③)
• 核家族化が加速化し地域内の連携が希薄に。子育てが孤独なものになる危険性が高まる(取組④)
【解決策やアイデア】
• 行政主導から官民協働のまちづくりへ。プラットフォーム組織化へ。(取組①)
• 地域社会・産業を牽引する次世代リーダー経営人財の育成事業(取組②)
• 県外生との交流や大学との連携による高畠町ならではの教育の確立と魅力化(取組③)
• 地域社会全体で子育てを応援する環境と機運の醸成(取組④)
【取組状況や成果】
• 官民協働のまちづくりプラットフォームの設置により、地域課題・資源の共有化(取組①)
• 町内企業、まちづくりに関わる各団体(商工会、観光協会等)の幹部の若返り化(取組②)
• 地域の魅力の再発見、地域愛の醸成、地方の教育機会較差の解消(取組③)
• 子育て世代を支援するネットワークの構築、子育て世代のライフパフォーマンスの向上(取組④)


取組②の詳細
まずは、地域にかっこいい大人、地域を牽引する次世代リーダー人財を育てよう!
「高畠町リーダー経営人財育成塾」を開講。自社の経営強化と地域社会の発展を実現させるための事業構想を策定する6か月間。3期目を終え、町内に16名のリーダー人財が誕生し、まちの未来を示した。卒塾生らは、町内の小中高学校でキャリア教育やアントレプレナーシップ教育の授業でも活躍中である。
取組④の詳細
親が安心して子育てできる環境を作るため、相談会や運動教室を開催し、子育て世代の声を聴く場を設置。また、あらゆる人をスポーツの力で幸せにすることをめざしているヤマガタアスリートラボ(地元出身のオリンピアン)が、「ハイパフォーマンスからライフパフォーマンスへ」をテーマに子育て世代の支援事業に取り組む。スポーツ庁後援「スポーツくらしフェス2025」を開催。子育てを楽しく、子育て世代を孤立させない環境を作る。
取組③の詳細
デュアルスクール(小中学生)、地域みらい留学(高校生)、地域スタディーツアー(大学生)の実施で、高畠ならではの学びに共感した県外生が町に来ることで、地域の子どもとの交流が生まれ、そのことで互いが地域(自分のまち)の魅力の再発見につながる。学年、地域を超えて、町にあるくらしに触れ、「未来の風景」が変わっていく。全てが学びのコンテンツ。
持続可能な取り組みとするためのポイント
• 分野・組織・立場を超えた官民協働プラットフォームの設置。
• 大人も子供も「人財育成」「教育」から。人への投資が未来への投資。
• 地域内外のプレーヤーと地域の目的や課題を共有化(シェアリング)。
• 町民と目線を合わせるため、誰でも意見が言えるイベント等の開催。(下図)
• 将来的には交付金等に頼らず、地域課題をビジネスで解決していく。
付記(任意)
地域を取り巻く環境は、人口減少、少子高齢化、後継者不足、地域経済の低迷など、暗い話題が多く、より深刻化している。ただ、困難な状況を、想いを共にする仲間とシェアすることで、自分だけでは想像できない「明るい未来」へとたどり着くことができる。今いる枠を超えた「シェアリング」「共創」は、激動の時代の未来を切り開く唯一の鍵である。



今後の展望
高畠町で取り組む3つの柱

● コンソーシアムを中心とした地域連携体制の強化が全体のベース
● 小・中・高等学校との連携を通じた教育現場の巻き込み
● 受入だけではなく「送り出し」や「地域なりわい創出」も含めた多方向の実証事業
高畠町が描く未来ビジョン 〜教育と地域の融合モデルから全国へ〜
高畠町は、教育・暮らし・地域づくりが一体となった多地域就学モデルを、日本全国に先駆けて実装してきました。今後は、地域と教育の接点をさらに深化させ、持続可能な地方の未来モデルとして、全国の自治体や関係者にとってのロールモデルとなれるよう進んでいきます。
