予算審議の着眼点

一般的な着眼点
(1) 予算は基本構想に合致したものであるか
予算は、一年度間の収入・支出の見積りではあるが、後年度に影響するところも大きいので、長期的な観点にたっての是非を判断することが必要である。そのために、すでに策定されている基本構想に合致するものであるか否かについて検討しなければならない。
(2) 予算編成の重点は何か、総花主義でないか
予算は、どのような編成方針に基づいて作成したかを念頭に入れて審議しなければならない。少ない財源を総花的にばらまいていたのでは、重点的な事業ができない。
逆に、重点的事業を執行することは大事であるが、他の行政が犠牲になることもよくない。調和と均衡のとれた予算でなければならない。
(3) 経常収支比率は前年度と対比してどうか
財政運営に当たっては、常に経常経費を節減し、財政構造の弾力性を確保するように努力しなければならない。
そのため、経常収支比率がどのように変化しているかに着目しなければならない。この経常収支比率は、75%以下が望ましいとされている。
(4) 人件費、物件費についての抑制策はとられているか、また類似団体別指数と比較してどうか
人件費、物件費などの内部管理経費は極力節減し、より多くの財源を投資的経費や福祉事業費等、住民に還元される経費に振り向けることが必要である。そのための抑制策がどのように講じられ、成果があがっているか。
類似団体と比較して多いか少ないか、多ければその原因はどこにあるかを究明する必要がある。
(5) 経済効果を検討しているか
地方自治法第2条第14項には、「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」と規定されている。同じ仕事をしても、そのやり方を変えることによって割高になることもあり、安い経費で仕上がることもある。例えば、ゴミの収集・庁舎管理等を直営から委託にするなどにより行政経費が安くあがるような方策が講じられているかどうか。また、同じ経費をかけたから同じ行政効果があがるわけではない。手段方法によって100の効果があがる場合もあれば50しかあげられない場合もある。
より少ない経費で、より多くの効果があがるような方策を講じているかどうか。重要な着眼点として検討しなければならない。
(6) 不時の支出に備えて財源が留保されているか
総計予算主義の原則により、一切の収入と支出は、予算に編入しなければならない。また、年度内に予見し得る経費は、すべて当初予算に計上しなければならない。
しかし、一切の財源を投入して当初予算を編成することにも問題がある。年度内に災害が発生するかもしれないし、予測し得なかった財政需要が生ずることもあるので、これに備えての財源が留保されているか、その額はいくらか、適正な額であるかを確かめる必要がある。
(7) 総花的な、人気とりのための補助金はないか
公益上必要があるときには、補助金を支出できるが、予算に占める補助金の割合が高くなる場合がある。
補助金の支出が、真に公益上の必要性があるか、すでに補助目的を達成したのに漫然と補助を続けているものはないか、補助をした効果は十分にあがっているか、町村長の人気とりのため、総花的に補助金をばらまいていることはないか、十分に審議しなければならない。
(8) その他の着眼点
- 歳入に過大見積り又は過少見積りはないか。
- 不要不急の歳出予算が計上されていないか。
- 選挙時の公約は、どう具体化されているか。
- 決算審査における指摘事項が、予算に反映されているか。
- 地域的に不均衡なものはないか。
- 議会が採択した請願、陳情が予算化されているか。
- 予算単価は統一されているか。
2. 歳入予算審議の着眼点
(一) 町村税
税収入は、町村財政運営の基盤をなすもので、その比重が高いほど財政に自主性があることになる。
町村税全体についての着眼点は、次のとおりである。
- 税収が適正に予算に計上されているか。
- 課税客体が漏れなく把握されているか。
- 前年度と対比して増減の理由は何か。
- 徴税率の見込みは低くないか、特に滞納繰越分の徴収にどのような対策を講じようとしているか。
- 税制改正による税収見込みが的確にとらえられているか。
以下、各税目ごとの着眼点を述べることにする。
(1) 町村民税
町村民税は、個人分、法人分がある。
個人分、法人分は、いずれも均等割と所得割からなり、個人分の賦課期日は毎年1月1日で、徴収方法は普通徴収と特別徴収の方法がある。特別徴収は納税義務者以外の者が、納税義務者から税額を徴収して、それを納税義務者の代わりに納める方法をいう。
- 給与所得以外の所得の把握はどのようにしているか。
- 納税義務者の把握漏れはないか。
(2) 固定資産税
固定資産(土地、家屋、償却資産)の所有者に対して、毎年1月1日現在の固定資産の価格を課税標準として課税する。土地及び家屋は、3年ごとの基準年度で評価された価格が原則として3年間据え置かれ、償却資産は、1月1日現在の価格で課税する。
国有資産等所在市町村交付金もこの項に計上される。
- 散在している土地の名寄せは完全か。
- 増改築された家屋は評価替えされているか。
(3) 軽自動車税
軽自動車税は、原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自動車及び二輪小型自動車の所有者に対して、その主たる定置場所在の町村において課税する。車種排気量の大小により地方税法に標準税率が定められている。
- 購入、廃車、転売したときの把握は、確実になされているか。
- 前年度と対比して増減の理由は何か。
(4) 市町村たばこ税
市町村たばこ税は、たばこの製造者が小売人に売り渡す製造たばこに対して、従量割額(本数)が、たばこの製造者等から納付される。
(5) 鉱産税
鉱産税は、鉱物の掘採事業に対し、鉱物の価格を課税標準として、作業場所在の町村において、鉱業者に課税する(地方税法第519条)。
- 掘採数量に把握漏れはないか。
- 価格は適正か。
- 業界の不振により滞納はないか、その対策は、充分になされているか。
(6) 特別土地保有税
特別土地保有税は、納付すべき日の属する年の1月1日前10年以内に取得した土地に対し、土地の所有者又は取得者に対して課税される(地方税法第585条)。都市計画法第5条に規定する都市計画区域を有する町村では5,000平方メートル、その他の町村では10,000平方メートルの免税点がある(地方税法第595条第2項・第3項)。
なお、平成15年度以降は、新たな課税を停止している。
(7) 法定外普通税
以上の普通税のほかに、税収入を確保できる財源があり、その税収入を必要とする財政需要があるときは、総務大臣の同意を得て法定外普通税を新設することができる(地方税法第669条、第671条)。
現行施行されているものとしては、別荘等所有税、使用済核燃料税等がある。
(8) 目的税
目的税は、地方団体の事業又は施設に要する費用につき、その事業又は施設によって特に利益を受ける者に対し、課税するもので、鉱泉源の保護管理施設及び消防施設の整備等に要する費用に充てるための入湯税、都市計画事業等の費用に充てるための都市計画税のほか、水利地益税、共同施設税、宅地開発税、国民健康保険税などがある。
また、特定の費用に充てるため、総務大臣の同意を得て法定外目的税を新設することができる(地方税法第731条、第733条)。
(9) 国有資産等所在市町村交付金・同助成交付金
国や他の地方公共団体の所有する固定資産には固定資産税が課されないが、「国有資産等所在市町村交付金法」によって、固定資産税に代わるものとして交付される交付金がある。これは固定資産税の中に計上される。
自衛隊及び米軍が使用している固定資産については、「国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律」による助成交付金があり、独立の款を設け、計上される。
(二) 地方譲与税
地方譲与税とは、国が徴収した特定の税目の税収を一定の基準により地方公共団体に譲与するものをいう。
平成21年度からの道路特定財源の一般財源化に伴い、地方道路譲与税の名称が地方揮発油譲与税に改められ、地方揮発油譲与税、石油ガス譲与税の使途制限は廃止されている。
また、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、平成31年3月に「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」が成立し、森林環境譲与税(令和元年度から譲与)が創設された。
(三) 利子割交付金
預貯金等の利子の額に応じて課税された利子割の一部を財源として、都道府県から市町村に交付される。
(四) 配当割交付金
上場株式等の配当等に対して課税された配当割の一部を財源として、都道府県から市町村に交付される。
(五) 株式等譲渡所得割交付金
源泉徴収口座内の株式等の譲渡益に課税された株式等譲渡所得割の一部を財源として、都道府県から市町村に交付される。
(六) 法人事業税交付金
法人事業税の一部を財源として、都道府県から市町村に交付される。
(七) 地方消費税交付金
平成6年度に都道府県民税として地方消費税が創設され、平成9年4月1日から施行されたが、その地方消費税額のうち、都道府県間により清算した金額の2分の1に相当する額が市町村に交付される。
(八) 環境性能割交付金
自動車の取得者に対して課税された自動車税環境性能割の一部を財源として、都道府県から市町村に交付される。
(九) 地方特例交付金
個人住民税における住宅借入金等特別税額控除の実施に伴う地方公共団体の減収を補填するために、個人住民税減収補塡特例交付金が交付されている。
(十) 地方交付税
(1) 地方交付税は、各地方公共団体が一定の行政水準の確保ができるよう財源の均衡化を最大の目的とし、地方財政の自主性の確保と地方行政の計画的運営を保障するために設けられている。
(2) 地方交付税は、所得税、法人税、酒税、消費税の一定割合及び地方法人税の全額の合算額を総額としている。
この制度は、昭和29年に制度が発足し、当初は所得税、法人税の19.874%、酒税の20%であったが、平成元年度に消費税が創設されたことにより、消費税(消費譲与税を除く)が加えられた。その後も、平成26年度に地方法人税の全額も加わるなど、幾度かの変遷を経て、令和4年4月現在は、所得税及び法人税の33.1%、酒税の50%、消費税の19.5%、地方法人税の全額の合算額とされている(地方交付税法第6条)。
不足する場合には国の一般会計からの加算措置等がなされている。
(3) 地方交付税は、普通交付税と特別交付税に分かれる。交付税総額の94%が普通交付税、6%が特別交付税として交付される。
(4) 普通交付税は、基準財政需要額から基準財政収入額を控除した額が交付基準額になる。
基準財政需要額は、各費目の測定単位の数値に単位費用を乗じ、さらに補正係数を乗じて算定する。その算定方法は、きわめて専門的であり複雑である。簡単に説明すると、まず標準団体(人口10万人、面積210平方キロメートル、世帯数42,000世帯、道路延長500キロメートル等)が、合理的かつ妥当な水準で行政を行う場合の経費を積算し、それから特定財源を控除し、一般財源によって賄われるべき財政需要額により単位費用が算出される。
この単位費用に各団体の数値を乗じただけでは妥当な財政需要額は算出できない。すなわち、実際の各団体の測定当たりの行政経費は自然的・社会的条件の違いによって差があるので、このような状況を反映させるために補正係数を乗じる。補正には、段階補正、密度補正、態容補正、寒冷補正、種別補正、数値急増補正、数値急減補正、合併補正、財政力補正がある。
(5) 基準財政収入額は、法定普通税を標準税率によって計算した収入見込額の100分の75である。
25%を算入しないのは、町村独自の施策を行うための財源を保障する意味を持っている。
(6) 特別交付税は、普通交付税の基準財政需要額に算定されない財政需要、災害など特別の財政需要があったこと及び財政収入が減少したことなどの事情に対して交付される。
- 地方財政計画からみて、地方交付税の予算計上額は適切であるか。
- 特殊事情がないのに、特別交付税を当初予算に計上していないか。
- 補正財源として、いくら留保しているか。その額は適正であるか。
(7) 地方交付税制度の見直しの一環として、複雑で分かりにくいと言われている交付税算定の簡素化を図るため、いわゆる新型交付税が平成19年度から実施されている。
具体的には、普通交付税の基準財政需要額の算定対象とされる行政分野のうち、国の基準づけの無いものあるいは弱いものについて、人口および面積という簡単明瞭な尺度により需要額を算定する新しい方式を導入するものである。
新型交付税算定方式に用いられる尺度は、人口と面積であるが、地方公共団体のさまざまな実態に対応して、人口規模によるコスト差や宅地・耕地・林野等の土地利用形態によるコスト差を反映させることとされている。
(十一) 交通安全対策特別交付金
道路交通安全施設整備の経費の財源として、交通反則通告制度に基づき納付される反則金収入を原資として、地方公共団体に交付される(交通安全対策特別交付金等に関する政令)。
(十二) 分担金及び負担金
町村の行う事業などで、一部の者が利益を受ける場合は、その事業の経費に充てるため、条例により受益者から受益の限度において徴収するのが分担金である。
負担金は、特定の事業を行う場合に、その経費に充てるために、特別に関係のある者から徴収するものである。
- 分担金は受益の限度を超えていないか。
- 分担金条例で徴収すべきものを寄附金にしていないか。
- 分担金条例は事業ごとに制定され、整備されているか。
- 負担金の算定根拠は適切か。
(十三) 使用料及び手数料
(1) 使用料には、公の施設の使用料と、行政財産を目的外に使用(町立病院内の売店等)する場合の使用料があり、金額、徴収の方法は条例で定めることになっている。
(2) 手数料は、町村が特定の者に対する行政サービスに対して徴収するもので、①町村の事務(印鑑証明等)についての手数料で条例で定めるもの、②町村長又は委員会の権限とされている国又は他の地方公共団体の事務について徴収する手数料(臨時運行許可申請手数料等)で、地方公共団体手数料令で定めるものの二種類がある。
- 使用料、手数料の見込額は適切か。
- 行政財産の目的外使用について、使用許可の手続き及び使用料は適切か。
- 減免規定を拡大解釈していないか。
- 公営住宅の割増家賃は的確に徴収しているか。
- 手数料とサービスに要する経費が合致しているか。
(十四) 国庫支出金
国から町村に支出されるものを国庫支出金と総称しており、次の三つがある。
国庫負担金=町村の行う特定の事業に対して交付されるもので、小中学校建築費負担金等がある。
国庫補助金=国の立場から奨励あるいは援助する事務、事業に対するもので、文化芸術振興費補助金等その種類は多い。
国庫委託金=純然たる国の事務を、町村に委託したときに交付するもので、国会議員選挙委託金等がある。
- 国庫支出金の算定が的確になされているか。見積り過大などはないか。
- 補助金があるために、不要不急の事業を計画していることはないか。
- 零細補助金について、補助金と補助金を得るための経費との比較はどうか。
- 補助事業等全体の経費からみて、超過負担になる額はないか、あればいくらか。
(十五) 都道府県支出金
都道府県から町村に支出されるもので、国庫支出金と同様に負担金、補助金、委託金の三つがあり、着眼点も同様である。
(十六) 財産収入
地方自治法上の財産とは、公有財産、物品及び債権並びに基金をいう(法第237条第1項)が、この科目で収入されるのは次のものである。
財産運用収入=財産貸付収入、基金運用利子、配当金等
財産売払収入=不動産売払収入、物品売払収入、生産物売払収入等
- 貸付料は適正か。
- 基金をさらに高利に運用できる方法はないか。
- 貸付けと売払いとどちらが有利か。
- 売払価格は時価と比較してどうか。
(十七) 寄附金
町村は、住民その他から寄附を受けることができるが、予算に計上するのは金銭による寄附金に限られ、動産、不動産による寄附は予算には計上されない。
- 用途指定寄附に見合う歳出予算が計上されているか。
- 強制的に割り当てたものはないか。
- 公費で支弁すべきものを、寄附で賄うことにしていないか。
(十八) 繰入金
繰入金には他会計からの繰入金と、基金繰入金がある。
- 繰出しをする他会計の収支はどうか。
- 基金からの繰入れは妥当で適切な額であるか。
(十九) 繰越金
地方公共団体は、各会計年度において歳入歳出の決算上剰余金を生じた場合においては、当該剰余金のうち二分の一を下らない金額は、これを剰余金を生じた翌翌年度までに、積み立て、又は償還期限を繰り上げて行なう地方債の償還の財源に充てなければならない(地方財政法第7条第1項)。
- 地方財政法の規定どおり、積立て又は地方債の繰上償還がなされているか。また、なされていない理由は何か。
- 繰越金を過大過少計上していないか。留保している額はいくらか。
(二十) 諸収入
諸収入とは、上記の収入及び地方債以外の諸々の収入で、およそ次のものがある。
延滞金、加算金及び過料
歳計現金の預金利子
貸付金の元利収入
受託事業収入
収益事業収入
雑入(滞納処分費、弁償金、違約金及び延納利息、雑入)
- 延滞金、加算金は、確実に収入しているか。
- 貸付金の元利償還は、確実に行われているか。
- 歳計現金にかかる利子は、的確に見込まれているか。
(二十一) 町村債
町村が一会計年度を超えて行う借入れをいう。原則として、建設事業費や公営企業(水道等)の経費の財源を調達する場合等、地方財政法第5条各号に掲げる場合においてのみ発行できることとされている。ただし、その例外として臨時財政対策債等がある。
3. 歳出予算審議の着眼点
(一) 総務費
総務費には、全般的な管理事務、徴税事務、戸籍、住民基本台帳事務、選挙事務、統計調査事務、監査事務に要する経費のほか、他の款に区分することのできない経費が計上され、財産管理費には、行政財産はもとより普通財産、物品、債権及び基金の管理に要する経費も計上される。
- 人件費の抑制策はとられているか。
- 条例によらない給与はないか。
- 国家公務員を上回る率で支給されている手当はないか。
- 類似団体と比較して職員数はどうか。
- 恒常的に臨時職員を雇用していないか。雇用する理由は何か。
- 職員の資質向上のための研修は、どう計画されているか。
- 職員の健康管理は配慮されているか。
- 特殊勤務手当の種類と金額は妥当か。
- 交際費は類似町村と比較してどうか。
- 交際費と食糧費の支出区分は明確にされているか。
- 徴税費は税収入の何%か、類似団体と比較してどうか。
(二) 民生費
民生費には、住民の安定した社会生活を保障するための経費が計上され、社会福祉費、児童福祉費、生活保護費、災害救助費の項からなり、予算全体に占める割合も大きい。
- 福祉施設は十分に活用されているか。
- 福祉施設は基準に適合しているか。運営に問題点はないか。
- ボランティアの活動に委ねられるものはないか、また、民間に委託できるものはないか。
- 各種の祝金、助成金は妥当か、見直すべきものはないか。
(三) 衛生費
衛生費は、住民が健康で良好な生活環境のもとで生活できるようにするための経費で、保健衛生費、清掃費の項からなる。
- 住民の健康管理の施策は充分であるか。
- 疾病予防対策をどのように講じているか。
- 救急、日曜日及び夜間の急病対策はどうか。
- 予防接種は対象者全員が受けられるように配慮されているか。
- じん芥収集は直営と委託を比較してどうか。
- し尿の収集に問題点、住民の苦情はないか。
- し尿、じん芥処理を一部事務組合で処理している場合、負担金の算定は適切か。
(四) 労働費
労働費は、失業対策費と労働諸費の項からなり、労働諸費では出稼労務者のための対策費などが増加する傾向にある。
- 失業対策事業の効率性はどうか。
- 失業者を他の事業に吸収する方策はないか。
- 地元での雇用拡大策はないか。
(五) 農林水産業費
農林水産業費は、農業費、林業費、水産業費の項からなり、第一次産業を主体とする町村では予算額も大きく、産業を振興し住民所得を向上させるためにも重要な経費である。
- 補助金、負担金の必要性とその効果はどうか。
- 他産業に対する助成策との均衡はどうか。
- 補助金について効果があがっているか。
- 農業協同組合、漁業協同組合、森林組合に対する助成金、損失補償、借入金に対する利子補給には、必要性、合理性があるか。
(六) 商工費
商工費は、商工業振興、観光開発振興のための経費が計上される。
- 金融機関に預託して融資している場合、その利用状況はどうか。
- 観光開発により入込客数は増加したか。
- 大型小売店進出に伴い、既存の小売店に対する育成策は講じられようとしているか。
- 消費者対策に欠ける点はないか。
(七) 土木費
土木費は、土木管理費、道路橋りょう費、河川費、港湾費、都市計画費、住宅費の項からなり、予算額も大きい科目である。
- 道路の新設改良は計画的かつ公平に進められているか。
- 入札業務の公正を期しての対策は万全であり、適切か。
- 各工事の詳細な計画と内容からみて問題はないか。
- 地元業者に対する育成策が考えられているか。
- 諸施設の維持管理に問題はないか。
(八) 消防費
消防費は、消火だけではなく、水害、地震、津波を含めた災害の防除や被害の軽減のための経費が計上される。消防事務については、一部事務組合を設置して共同処理している例が多く、その場合は組合に対する負担金が予算に計上される。
- 消防団員の報酬は適正か。
- 消防施設は十分か。老朽化している施設の更新計画は立てられているか。
- 常備消防組合に納付する負担金については、その積算基礎は適正か。
(九) 教育費
教育費は、教育総務費、小学校費、中学校費、高等学校費、幼稚園費、社会教育費、保健体育費の項からなり、教育に関係する一切の経費が計上されるので、額も大きく重要な予算である。
- 教育施設費にかかる超過負担額はいくらになるか。
- 用地取得の目途は確実であり、かつ適地であるか。
- 小中学校の需用費が不足し、PTAに負担させていないか。
- 生涯教育をはじめ社会教育に対する取組みは十分であるか。
- 体育施設の利用状況はどうか。
- 校舎の修理をはじめ維持管理対策は十分か。
- 将来の児童、生徒数の増減に対応した整備計画はどうか。
(十) 災害復旧費
災害復旧費は、災害の復旧に要する経費が計上される。
災害復旧費に対しては、国庫負担金、地方債等がその財源として充てられる。
- 原形復旧に要する費用として十分か。
- 災害の発生原因を究明し、排除しているか。
- 国庫の負担金、補助金は適正に見込まれ、起債の充当率どおり正しく算定されているか。
- 工事関係の事務費に不用なものはないか。
(十一) 公債費
公債費には、過去に借り入れた地方債の元利償還金と一時借入金の利子が計上される。
- 現在の起債残高と公債費比率の動向はどうか。
- 一時借入金の利子を少なくするため、資金繰りにどのような工夫と対策がたてられているか。
(十二) 諸支出金
諸支出金は、普通財産取得費、公営企業貸付金の項からなる。本来、歳出予算は、目的別に計上されるが、普通財産は、目的がはっきりしていないため諸支出金に計上される。公営企業貸付金は、他の款の目的によって区分のできない事業に対する貸付金、出資金であり、その例は少ない。
(十三) 予備費
予備費は、予算に科目のない、あるいは科目はあっても予算に計上されていない支出、予算に計上されているが金額が不足する場合に充てるための使途を特定しない予算である。
予備費の充用は、町村長の裁量でできるので、多額に計上することは好ましくない。
(十四) 給与費明細書
1 人件費について議会の監視機能を高めるため、昭和50年から予算に関する説明書として、「給与費明細書」を議会に提出することが義務づけられた。
人件費については、各款項に計上されている人件費を個々に審議する一方、給与費明細書で一括して全体的な検討を加えることが大事である。
2 給与費明細書の着眼点
- 職員数増減の理由は何か。類似団体に比較して職員数はどうか。
- 一人当たり給与費の増は、ベア(ベースアップ)の合計額を上回っていないか。
- 等級別職員数の変動した理由は何か。
- 非常勤特別職の報酬は適正妥当か。
- デジタル化、事務の民間委託により人件費の削減ができないか。
- 給料表に対する格付けは適正か。
- 給与改定のための財源が留保されているか。
- 国家公務員を上回る手当はないか。
- 勤勉手当の支給には人事評価を勘案しているか。
4. 継続費の着眼点
- 単年度で処理できない理由は何か。
- 継続の年度は長期にわたっていないか。
- 総額・年割額は適正であるか。
5. 繰越明許費の着眼点
- 繰り越すべき財源は確実にあるか。
- 繰り越した理由は納得できるものか。
6. 債務負担行為の着眼点
- 債務負担行為を必要とする理由と目的が明確であるか。
- 債務負担行為の期間を極力短縮するよう配慮しているか。
- 負担の限度額が明確に定められているか。
- 二年以上にわたる義務負担の年度別の負担額が明確に定められているか。
- 将来、予算措置が確実に講じられて処理できる性質のものであるか。
- 契約の相手方・契約内容・支払方法・契約年度・支出年度等が明確にされているか。
- 現在、債務負担がどのくらいあるか。さらに財政を圧迫するようなことがないか。
- 債務保証と損失補償の区別が厳格に、適正になされているか。
7. 地方債の着眼点
- 地方債で予定している事業は適債事業か。
- 地方債の現在高はいくらで、将来の償還計画に確実性はあるか。
- 起債をしてでも実施すべき事業であるか。
- 公債費比率はどう動き、類似団体に比較してどうか。
- 起債の充当率は地方債計画に適合しているか。
8. 一時借入金の限度の着眼点
審議に当たっては、その歳入歳出予算にかかる資金繰予定表や現在までの一時借入れの実績等からみて、適正な限度額であるかどうかを具体的に検討すべきである。
なお、歳出予算の議会費については、審議する議会自体の活動に要する経費であるから、事前に何らかの方法で説明を受けて充分理解をしておくことが望ましいことは当然である。

