ハラスメントまとめ

ハラスメント対策が重要な理由
議員自身への影響
加害者にも被害者にもなる: 議員はハラスメントの加害者にもなり得るが、同時に被害者になる可能性も大いにあり。自身の行動だけでなく、被害者になった場合の対応も学ぶ必要がある。
行政機能の歪み: 議員が行政職員に対してハラスメントを行うと、職員は萎縮し、必要な情報提供や建設的な議論が妨げられ、結果的に行政の機能が歪められる。
議員のなり手不足: ハラスメントの存在は、特に女性議員のなり手不足に拍車をかける。これは、民主主義の多様性を損なう重大な問題。
議員に求められる特別な意識
高い規範意識: 議員は選挙で選ばれた特別職の公務員であり、すべての住民に奉仕する立場である。社会全体のハラスメント対策を進める役割を担っているため、一般の公務員や民間企業よりも高い規範意識が求められる。
二元代表制の観点: 議員は首長と対等な立場で、行政を監視する役割を担っている。もし議会のハラスメントルールが行政よりも緩やかであれば、議会の監視機能は弱まってしまう。したがって、行政と同等かそれ以上に厳しいハラスメント対策が不可欠。
ハラスメントの種類と具体的な事例
パワーハラスメント(パワハラ)
定義:
- 優越的な関係を背景に行われる: 上下関係だけでなく、当選回数や所属会派など、事実上の力関係も含まれる。
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動: 業務指導であっても、その手段や方法が不適切であればパワハラに該当する。
- 人格や尊厳を害し、または勤務環境を害する: 精神的・身体的な苦痛を与える言動。
事例:
- 議員から議員へ: 若手議員の意見に対し、「頭が悪い」「議員に向いていない」と人格を否定する発言をする事。机を激しく叩くなどの威圧的な行為も含まれる。
- 議員から職員へ: 職員の説明が不十分だとして、「税金泥棒」と罵ったり、必要以上に長時間拘束したりする事など。また、些細なミスを大声で指摘する行為もパワハラに該当する。
セクシャルハラスメント(セクハラ)
定義: 職場内外を問わず、相手を不快にさせる性的な言動。判断の基準は、基本的に**「受け手が不快に感じるかどうか」**。加害者に悪意がなくても、相手が不快に感じればセクハラとなる。
事例:
- 議員から議員へ: 女性議員に対し、「男いらずの〇〇さん」と呼んだり、結婚や交際状況を詮索したりする事。
- 議員から職員へ: 「女性が入れたお茶の方が美味しい」と発言したり、容姿に関する不適切な発言をしたりする事。
マタニティ・ハラスメント(マタハラ)
定義: 妊娠・出産・育児・介護等を理由に、不利益な取り扱いをすること。
事例:
- 妊娠を理由に、会派の役職や委員長の役職を下ろす。
- 産休・育休中の議員に対し、議会への出席を強要する。
票ハラスメント(票ハラ)
定義: 有権者から議員や候補者に対して行われるハラスメント。法律で直接禁止されているわけではないが、選挙活動を妨げたり、議員の心身に苦痛を与えたりする行為。
事例:
- 選挙活動中に握手した手を離さない。
- 「投票するから二人で飲みに行こう」と性的な誘いをかける。
- SNSやメールで誹謗中傷や嫌がらせを行う。
ハラスメントの背景と個人の心がけ
ハラスメントの背景
- 俗人思考: 議論の内容ではなく、発言者が誰であるかを重視する組織風土。当選回数が多いベテラン議員の意見が優先され、自由闊達な議論が阻害される。
- アンコンシャス・バイアス: 無意識の思い込みや偏見。例えば「女性なのに議員になったのか」といった発言は、悪意がなくても相手を傷つける可能性がある。
- 心理的安全性: 自分の意見を安心して発言できる環境。これが低いと、議員は失敗を恐れて挑戦できなくなり、組織全体の活力が失われる。
議員として心がけるべきこと
- 優位性を意識する: 当選回数や役職など、優位な立場にある議員は、自分が思っている以上に相手にプレッシャーを与えていることを自覚する。
- 感情のコントロール: 怒りや不満を感じた際は、すぐに感情的な言動に出るのではなく、深呼吸をするなどしてクールダウンを試みる。
- 対等なコミュニケーション: 議員同士は対等な立場であり、互いにハラスメントに当たる言動を指摘し合うことも大切。また、相手の関心に関心を寄せ、良好な関係を築く努力する。
- 指導とパワハラの境界線: 厳しい指導とパワハラの境界線に迷ったら、「その言動が多くの人に本来の教育と理解してもらえるか」を自問自答する。相手の人格を否定するのではなく、相手の能力を引き出すための言動であれば、それはパワハラにはならない。
ハラスメント防止と対応策
議会全体の対策
- 方針の明確化: 議会としてハラスメント防止に全力で取り組むことを決議し、公表する。
- 条例の制定: ハラスメント防止条例を制定し、ハラスメントの定義や相談窓口の設置、調査体制などを明確に規定する。
- 相談窓口の設置: 議員や職員が安心して相談できる窓口(議長、議会事務局、外部の専門家など)を設置し、迅速かつ公正な調査を行う体制を整える。
- 研修会の実施: 議員全員がハラスメントに対する知識を深め、コミュニケーションスキルを向上させるための研修を定期的に実施する。
ハラスメントが起きた場合の対応の流れ
- 相談・申し立て: 被害者から議長や相談窓口にハラスメントの被害が申し立てられる。
- 情報共有と調査: 議長や議会事務局が情報を共有し、事実関係の聴取(被害者、加害者、関係者など)を行う。
- 第三者性の確保: 政治的な対立が絡む場合は、公平性を保つため、第三者委員会が調査にあたることも検討する。
- 認定と結果の通知: 調査結果をもとにハラスメントの有無を判断し、被害者と加害者双方に結果を通知する。
- 事後対応: 加害者に対する指導・注意、被害者への謝罪を求める。必要に応じて、再発防止策を講じる。

