添加物を抑制した今治市の学校給食

「日本一おいしい給食」を目指す今治市の基本姿勢
今治市は、「日本一おいしい給食」をスローガンに掲げ、長年にわたり給食の質を高める努力を続けています。その根幹にあるのは、条例で厳しく縛るのではなく、市として明確な方針を立て、現場の調理員さんたちの熱意と技術でそれを実践するという姿勢です。
その方針とは、驚くほどシンプルで、しかし徹底されています。
それは、「原則として加工食品を使わず、天然の素材から手作りする」ということです。
このシンプルな方針を貫くことで、結果として多くの食品添加物を子どもたちの口から遠ざけることに成功しています。
具体的に何が違うのか?今治市の「手作り給食」
今治市の給食では、私たちが当たり前だと思っている「いつもの食材」が見当たりません。
特徴1:化学調味料はゼロ。うま味は天然の「だし」から
- 規制内容: グルタミン酸ナトリウム(アミノ酸等)に代表される化学調味料は一切使用しません。
- 代替方法: 昆布、いりこ、鰹節などから丁寧に「だし」を取ることを基本としています。これにより、素材本来のうま味を活かした給食を提供しています。これは今治市の取り組みの根幹をなすものです。
特徴2:ハム・ベーコン・ウインナーは使わない
- 規制内容: ハム、ベーコン、ウインナー、ミートボールといった加工肉製品を原則として使用しません。これにより、これらの製品に一般的に含まれる以下の添加物を排除しています。
- 発色剤(亜硝酸ナトリウムなど):肉の色を鮮やかに保つために使われます。
- リン酸塩(Na): 肉の保水性を高め、食感を良くするために使われます。
- 保存料(ソルビン酸など)
- 着色料
特徴3:カレールウもシチュールウも、調理場で手作り
市販のカレールウなどには、味を均一にするための乳化剤やカラメル色素などが含まれています。今治市では、カレーもシチューも、小麦粉やスパイス、バターなどを使って調理員さんが一から手作りしています。
これにより、市販のルウに含まれがちな以下の添加物などを避けています。
◯乳化剤: 油と水を均一に混ぜるために使われます。
◯カラメル色素: 色を濃くするために使われます。
◯酸味料、香料
◯化学調味料
特徴4:パンも特注の「無添加」品
給食のパンも、市内のパン屋さんに特注し、パンを柔らかく保つための乳化剤やイーストフードといった添加物を使わない、特別なパンを納入してもらっています。
特徴4:その他
遺伝子組換え食品: 市の公式ウェブサイトで「遺伝子組換え食品の使用は避けています」と明記されています。例えば、豆腐の原料となる大豆も、以前はアメリカ産の非遺伝子組換え大豆を使用していましたが、現在は地元今治産の大豆に切り替えています。
不要な添加物の回避:国の「学校給食衛生管理基準」では、「有害若しくは不必要な着色料、保存料、漂白剤、発色剤その他の食品添加物が添加された食品」は使用しないよう定められています。今治市の方針は、この国の基準をより厳格に、かつ徹底して実践している形です。
高畠町の未来のために、私たちが学べること
もちろん、こうした取り組みを実現するには、手間もコストもかかります。今治市では、食材費の増加分は市の予算で補い、保護者の負担が増えないように配慮しているそうです。
現在の高畠町の財政状況を考えると、すぐに全てを真似するのは難しいかもしれません。
しかし、私は諦める必要はないと考えています。
まずは、「できることから始める」という視点が大切ではないでしょうか。例えば、
- 化学調味料を天然だしに切り替えることから始める。
- 月に一度「てづくり給食の日」を設けてみる。
- 地元のパン屋さんと協力して、少しでも添加物の少ないパンを検討する。
一つの加工品をやめるだけでも、子どもたちが摂取する添加物の量は確実に減ります。
私は、こうした小さな一歩を積み重ねていくことが、高畠町の子どもたちの未来、そして地域の農業を守り育てることに繋がると信じています。
まとめ
◉今治市が規制しているのは、個々の添加物名というよりも「添加物が多く含まれがちな加工食品そのもの」です。条例で「リン酸塩を禁ずる」と定めるのではなく、「リン酸塩が使われがちな加工肉は使わず、生の肉から手作りする」というルールを運用することで、結果的に高いレベルの添加物削減を実現しています。

