白血球分画検査

ナカムラ クリニック 院長ブログ

白血球の自律神経支配 2019.1.16

白血球分画オーダーしてるけど、これ、どういうこと?」上級医に尋ねられ、言葉につまった。
「顆粒球優位かリンパ球優位かが分かれば、交感神経緊張状態か副交感神経優位か分かりますし、それに、」
「いや、そういうの、いいからさ。医療費抑制のためにもね、こういうムダなオーダーをし
ちゃダメだよ」
「はい、わかりました」
文末が疑問形になっているのは単なる婉曲表現であって、本当にその理由を聞いてるわけじやないんだ。真面目に答えようとして損したな。
しかし、白血球分画の実施料は15点。つまり、150円だ。
たったの150円で非常に有益な情報が得られると僕は思っているんだけど、データの意味を知らない医者にとっては、確かにムダ以外の何物でもないだろうね。
自律神経には交感神経と副交感神経がある。
これらは互いに拮抗する働きをしていて、交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキにたとえられる。
たとえば日中活動的に過ごすときには、交感神経が優位になっていて、心臓の機能を高め、呼吸を早くし、消化管の動きを抑制する。
副交感神経は夕方から夜にかけて、休んでいるときや食事をしているときに優位になって、心臓の働きや呼吸を穏やかにし、分泌現象を促進し消化管の蠕動運動を活発にする。
交感神経の刺激は、副腎の出すアドレナリンや交感神経自身の出すノルアドレナリンによって媒介されている。
一方、副交感神経の刺激を媒介するのはアセチルコリンである。
どの臓器にも交感神経、副交感神経が分布していてその機能を調整しているわけだけど、驚くべきことに、白血球さえ自律神経の支配を受けいている。
つまり、白血球の細胞膜上には交感神経の刺激を受け止めるためのアドレナリン受容体や、副交感神経の刺激を受け止めるためのアセチルコリン受容体があり、自律神経の支配を受けている。
この事実を発見したのが、安保徹先生だ。
白血球には大別すると顆粒球とリンパ球がある。顆粒球は細菌を食して処理し、リンパ球は抗体などを産生する。
顆粒球は交感神経の支配下にあり、その膜状にはアドレナリン受容体がある。
リンパ球は副交感神経の支配下にあり、膜状にアセチルコリン受容体を持つ。
だから、ストレスなどで交感神経の過緊張が起こると顆粒球が増加し、その放出する活性酸素により組織障害が起こる。

逆に、休息や食事の過剰、つまり運動不足や肥満によって副交感神経が優位になりすぎるとリンパ球が増え、アレルギー体質になる。
つまり、白血球分画を見れば、顆粒球、リンパ球の比率が分かり、交感神経、副交感神経どちらが優位になっているかを判断できる。
おおよその正常値としては、顆粒球が 60土5%、リンパ球が35土5%ぐらいだ。
たとえば顆粒球 70%、リンパ球25%のような人は、交感神経が緊張状態にある。
症状としては、肩こり、腰痛、便秘、食欲不振、高血圧、特、歯槽膿痛、不眠などがある。
逆に、顆粒球45%、リンパ球 50%といった分画の人は、副交感神経が優位になっている。
鼻水、かゆみ、蕁麻疹、うつ、元気が出ない、アレルギー疾患などの症状がある可能性が高い。
自分の採血データを見て、顆粒球過多なら「最近ストレスが多すぎたせいだな」「薬の飲みすぎのせいだな」、リンパ球過多なら「運動不足のせいだろう」など、自分の生活を見直すきっかけになる。
白血球分画のこうした読み方は、すでにアメリカの検査会社でも取り入れられている。
安保先生の論文が説得力を持って受け入れられている証拠だろう。
残念ながら、本家の日本で「分画なんて調べるのはムダ」という医者ばかりなのだから、安保先生も泉下で残念に思っていることだろう。
安保先生は生前、著書や講演などで一貫して薬の害を言い続けてきた。
「体にいい薬というのは、ありえない」これが、長年免疫を研究してきた安保先生の結論である。
そこらへんのオヤジが言っているのではなく、免疫学の世界的な権威が言うのだから、一部の人たちにとって、安保先生の存在は実に目障りだった。


DNAの損傷と修復 人体影響の発生機構

細胞は生命の設計図ともいえるDNAを持っています。DNAは糖・リン酸そして4種類の塩基を持った2本の鎖からできています。塩基の並び方に遺伝情報が組み込まれているので、並び方を保つために塩基は互いの鎖がいがたになるように組み合わされています。このDNAに放射線が当たると、当たった量に応じてDNAの一部が壊れることがあります。
✕(エックス)線1ミリグレイたり、1細胞で平均1箇所の1本鎖切断が起こるといわれています。これは1ミリシーベルトに相当します。また2本鎖切断の頻度はこれより少なく
0.04箇所のため、100細胞が均一に1ミリグレイ浴びたら、2本鎖切断が4細胞に起こることになります。
DNAを傷つける原因は、放射線以外にも、食物の中の発がん物質、たばこ、環境中の化学物質、活性酸素等があり、一日1細胞当たり、1万から100万箇所の頻度でDNAが損傷を受けているといわれています。
細胞には、DNA損傷を修復する機能があり、DNAが損傷を受けると、修復酵素が駆けつけて、こうした傷を修復します。修復には、完全に修復される場合と一部が不完全に修復される場合があります(上巻P89「DNA→細胞→人体」)。

被ばく後の時間経過と影響 人体影響の発生機構

放射線を浴びた後、1,000分の1秒という短い時間にDNA切断や塩基損傷は起こります。1秒後には修復が始まり、修復に失敗した場合には、1時間〜1日の間に細胞死や突然変異が起こります。こうした細胞レベルでの反応が生じてから、個体レベルで臨床症状が出るまでにはしばらく時間が掛かります。この時間のことを潜伏期間といいます。
被ばく後、数週間以内に症状が生じるものを急性(早期)影響、比較的長く掛かって生じる影響を晩発影響と呼びます。特にがんが発症するには数年から数十年の時間を要します。
(関連ページ:上巻P113「発がんの仕組み」)

白血球分画検査サンプル

リンパ球数が3000個/ML以上ある人は、元気いっぱいの人です。人にはやたら元気がいい人がいます。これらの人のリンパ球数を調べたら、案の定リンパ球が3000~4000、最高で5000以上あります。癌家系の人のリンパ球数は家族みんな1200程度が多く、ステージ3期・4期の患者さんは、リンパ球数がやはり1200前後なことが多いです。

病気になりやすいかがわかる白血球分画検査

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