山形県ひきこもりサポーター養成講座

「ひきこもりサポーターとは」

山形県健康福祉部 障がい福祉課 障がい医療担当

ひきこもりサポーターの活動について

※サポーターの活動は、支援機関の職員とともに行うことを想定しています。
活動の例

  • 居場所やフリースペースでの活動
  • 本人や家族の方の話し相手
  • スタッフとしてのお手伝い
  • 訪問支援への同行
  • 家庭訪問時のお手伝い
  • 対象者への同行支援
  • 本人が希望する場所への同行等

ひきこもりサポーターについて

ひきこもりサポーターとは、ひきこもり支援に関心のある方で、ひきこもりに関する基本的な知識を習得のうえ、ボランティアとして活動する方
(例)事者同士としての支援
家族同士としての支援
地域社会の一員としての支援
県では、ひきこもりサポーターの養成、名簿の管理、サポーターの紹介、マッチングを行っています。

サポーターの派遣事例

○フリースペースでの見守りボランティア
【主な活動内容】

  • 利用者への食事の提供、片付け
  • 利用者とのコミュニケーションや
  • 活動(ゲームや塗り絵など)

【派遣申請した事業所から】

・複数の部屋をフリースペースとして開放しているため、複数のボランティアが必要であり、サポーターにきていただいてとても助かった。
・場合によっては、子どもだけが集う部屋もありサポーターがいることで、トラブルが回避できた。

山形県のひきこもりの実態

・H25年、H30年に調査(女性・若者活躍推進課)


H25年H30年
ひきこもり状態にある方の人数1,607人1,429人
出現率(人口当たりの該当者数)0.14%0.13%
40歳以上が占める割 合45.1%53%
5年以上ひきこもっている人の割合50.8%62.7%

5年以上引きこもっている人の割合が平成25寝れない50.8%だったのが、平成30年には62.7%に増加するなど、ひきこもりが長期化している。

自立支援センター巣立ち

ひきこもりの「第一次相談窓口」


(ひきこもりの問題をどこに相談すればよいかわからない本人や家族のためのはじめの相談窓口)

相談者の状態やニーズを踏まえて、適切な支援機関・団体等を紹介します。また、巣立ちでの支援が適当と判断されたケースについては、アセスメント実施後、本人や家族の来所相談に応じています。

関係機関・団体との連携
ひきこもりに関する情報収集と情報発

保健所

  • 「ひきこもり相談」、「精神保健福祉相談」として相談を受けている。
  • 事者の状態やニーズに応じた支援機関の紹介や家族の精神的安定を図る。
  • ひきこもりの背景に精神疾患がある場合があるため、精神科医師等との相談では、精神疾患との鑑別や必要時医療機関の受診も含めた助言をおこなうことが可能。
  • 電話相談、来所相談(精神科医師への相談(予約制)が可能)、訪問支援

若者相談支援拠点

  • 不登校やひきこもりなど困難を有する若者やその家族のための相談窓口
(39歳までが対象)
  • 電話相談・来所相談・訪問支援・メール相談、
出張相談会
  • 居場所支援(フリースペース)
  • 家族会や家族教室による家族支援
  • ボランティア活動や学習支援、子ども食堂、その他イベントの実施(社会参加準備)

地域若者サポートステーション

◉働くことに悩みを抱える若者へ就労支援を行う
(15歳~49歳まで)
◉個別相談・家族相談
派遣要請のある高校、NPO団体等での出張カウンセリング、サポステまで来れない方のための出張相談
◉コミュニケーション能力開発事業
他者との関わりやコミュニケーションが苦手な人向けに、1対1の相談から少人数による交流へと発展させ、社会参加の意欲・自信を育む。
◉アルバイト型勤労体験事業
個々に応じた短時間・短期間のアルバイト型勤労体験を実施し、賃金を得る喜びと自信を持たせる

自立相談支援機関

◉自立相談支援事業
困窮者支援の相談窓口として、相談員・支援員が相談に応じ、具体的な支援につなげる。(電話相談・来所相談・訪
問支援)
対象者の抱えている課題をアセスメントし、ニーズに応じた自立支援計画を策定し、計画に基づいた支援が包括的に行われるよう関係機関と連絡調整を行う
◉就労準備支援事業(※実施していない市あり。町村部は実施)
直ちに就労することが困難な者に対し、対象者の状態に応じた支援プログラムを作成し、就労に向けた準備として社会参加に必要な基礎能力の形成・改善を図る。

福祉的な支援(障がい福祉サービス:市町村)

障がい認定を受けた方が使えるサービス
◉障がい者相談支援事業
障がいのある人の福祉に関する様々な問題について、障がいのある人壁からの相談に応じ、必要な情報の提供、障害福祉サービスの利用支援等を行う
◉就労移行支援

一般上業等への就労を希するに、一定期間就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う
◉就労継続支援A型(雇用型)
ともだ一番子の堂が悪だ量な調製を下勢労の機会を提供するとともに、能力等の向上のために必要な訓練を行う
◉就労継続支援B型(非雇用型)

一般企業等での就労が困難な人に、就労する機会を提供するとともに、能力等の向上のために必要な訓練を行う
◉就労定着支援

一般就学に移行した人に、就労に伴う生活面の課題に対応するための支援を行う

ひきこもり支援の実際

生活支援
相談支援
福祉支援
医療支援
教育支援

各分野、各支援機関が協力、連携し多面的に支援しています。


ひきこもりの理解と基礎知識

山形県立保健医療大学  安保 明 氏

■ところで、ひきこもり、というのは・・・?
様々な要因の結果として社会的参加の場面が狭まり、就学や就労などの自宅以外での生活の場が長期にわたって狭まっている状態
頻度としては、山形、内閣府の調査などを超すると、だいたい70-80世帯に一人くらい。

1.ひきこもる人の過程と、喪失の悲しみからの癒し

ひきこもりの段階は、おおむね4段階に理・分類すると理解しやすい

ひきこもりの準備段階
身体・精神に症状(困りごと)が生じ、問題行動で対人関係に亀裂が生じやすい
ひきこもりの開始段階
激しい葛藤がほかの人からも見える(顕在化)家庭内暴力・泰言などが生じやすく、精神的にも不安定
ひきこもり段階
回避と退行が見え、表面的には葛際はみえにくくなっている。徐々に(葛などが回復していく場合がある一方、回復しないまま慢性的に経過する場合もあるので関与方法の検討が必要
社会との再会段階
試行錯誤しながら外界(多くの場合は、中間性のある場)との接触が生じて活動が始まる段階
※社会とは人との繋がりのこと。社会という言葉を聞いたら社会を人とのつながりと読み替える。

喪失による悲嘆反応と、とても似ている
(1)ショック期
(2 )喪失期
(3)閉じこもり期
(4)癒し・再生期

つまり、何かしらの問題のある人の特殊な心理的反応というより、多くの人に生じる反応の経過
”ひきこもりという状態は”何らかの喪失による(悲しみ)”から次に進みにくい態かもしれない例えば”安心できる場を喪失した後の社会的孤立”と捉えた方が、心理社会的な支援が行いやすくて有効

2.ひきこもりに至る経験やひきこもり経緯の景響

周囲の人は「なぜ、ひきこもる人は、前向きに行動できないのだろう」と思うことがあるかもしれません。

1)挫行体験の存在→安心感や自言を失っている可能性が高い
2)周囲との関係性を気にしがち→気にしすぎて期待+怒り=攻撃になることもある
3)実は自分の時間をもちにくいと感じてしまう→生活パターンが他の人と違うことになりがち
4)身体状態の問題(栄養や運大悪く実は身体的にもダメージがあるかも)→専門家の支援が必要なことも
5)社会経が少なくなりがち→人生の希望を叶えるまでの道肪がみえにくくなる

ひきこもる人の社会参加は、「海外留学と海外就職」のようなイメージをするといいかもしれません。

  1. 「やれるでしょ」と簡単に言ってできるもんでもない
  2. 個人の努力だけでは乗り越えにくい(よき隣人的な理解者が必要)
  3. 未知の出来事が多く、すれ違いや挫折もたくさんあると思う必要がある

3.どうすると前に進むの?

社会協立の状態にある人の支援では、個人(ひとり)がひとりを支えるモデルはとりません。
何人か、何機関かが複合的にかかわるネットワークづくりが最も有益です。

家族支援
家族の理解者を増やす。悪者探しをやめるなど。
本人の心理的支援
安心感を最優先に。雑談は安心のサイン。
居場所の給介
明るく前向きに自然にできる。失敗や落胆も分かち合える。
就学・就労・医療等の支援
理解者を増やす。つながりつづける。

命綱大態の関わり(1対1)から、ハンモック状態をつくる(3人3か所以上がつながる)ことを意識しましょう!

<対応の工夫>「相手を変えよう」ではなく、「今の時間を安心して過ごせるようにしよう」

1)相談のニーズがある方(例えば、家族相談ではご家族)の心情や経験に注目する
 「その場にいない人の推察は、できるだけしない」
例えば、ご家族と会える。相談できる場合には、まずは、ご家族自身が安心感をもてる(虫を感じなくていい場所や時間帯がある)ことが重要です。

話し方の例)
ご家族「うちの子どもは夜まですーっとゲームはかりしていて、本当にもう・・・」
サポーター「なるほど、私はいま、ご家族さんの話を聞いていて、ご家族さんがどんな気持ちになるのかなということと、ご家族さんか安心感をもって過ごしている時間帯はいつなのかな、っていうことが、頭ご浮かひました」

2)疲れや悩みなどの話のときには、「なるほど」と聞きながらプラスの日をみつけてみる
自分がつらい疲れている頑張っているけど(でもつらい)などの相談になることがあります。そんなときは、そのきっかけや経験を聞きながら、プラスな状況を感じる日がどうあるか、聞くといいことがあります。
相手の話をうけとめつつ、プラスな話に転換
例。「先ほど、*(マイナスなこと)**でお悩みと聞いていましたが、最近(2週間くらい)で、***な日はどれくらいありましたか?」


毎日そう だったほとんどの日がそうだった半分強の日がそうだった半分近い 日がそうだったたまにそういう日 があったまったく そういう 日がない
明るく、楽しい気分で過ごした





落ち着いた、ゆったりとした気分で過ごした





まえむきで、積極的に過ごした





ぐっすりと眠ることができ、気持ちよく目覚めた





周囲の物事やニュースに興味や関心を持って過ごした





安心感と焦り、楽しさと抑うつ、睡の程度や状態前向きさなどがわかります。
このとき、ある程度状態によって推察できますので、その状況に関係する経験をきいてください。

3)受け止める・・・批判や判断を避ける安心を与える
相手の話、その場の話にどう応答したらいいのか困ることがあったら・・・
A)批判、判断を避け、関心を払っていることを言葉と態度で伝える相手の話を聞くときには、「助言しよう」「分析しよう(判断しよう)」としないでください。
「また、2週間後(1か月後)くらいに話を聞いてもいいですか?」等の形で自分も関心を持っている(援助を惜しまない)と行為で示しましょう。
B)安心を与える(自分の感覚を通じて安心感をプレゼントする感覚)
★相手が話した経験に、「そういうのはみんな経験するものだよ(だから我慢しなさい)」などと、
その人の経験と感覚を軽んじないように。


4)適切な人とつながるように質問や感覚を伝える
*その困難は(その人が一人で抱えるには重い、ということを伝える
*相手(当事者)にとっても、快適な相手(支援者)がいるはず
→ 自分は一人ではない、と思えるようにし、具体的な解決も図る
例)そうか、〇〇なことがあってAAについては★★が起きているから負担が大きくなっているというわけですね。
さらに普段の暮らしでも〇〇やAAがあって、休まらない状況なんですね。
その結果、(眠れない、気持ちが休まらない、同じことが頭をめぐる)のですね。
それは、大変でしたね。いや、今も大変なことですね。
それは、一人で抱えるのは難しいくらいのことだと感じました。
このことで、あなたが私(たち)以外で相談したり話したりして安心できる人は、誰がいますか?
その人の周囲に、頼りになる人や場所をイメージできるようにしていきましょう。

5) その人の魅力や行動の源泉(ストレングス)をみつける
その人の人生という旅に重要な、その人の持ち味を見つけておく必要があります。

ストレングス(何かを実現する上での魅力や強み)の構成例

関心や願望能力の認識資源と機会社会関係
どんなことが好きか、どんなことを願っているかどんなことができると思えているか(自信を持てているか)どんなチャンスをもっているか (行きたい場所があるなど)どんな人とのつながりがあるか(いい思い出も含む)

成功か失敗かではなく、どのくらいの自言をもって明日を迎えられるかに注目

うまくいかなくても安心していられると思えることが、とてもいいです。

資料。自己紹介&〇〇さがし

わたしの・・・ある方の・・・ある方の・・・
なまえ名前質問へのこたえ
好きな外出先は?
好きな外出先は?(まつわるエピソード?)
好きな色は?
好きな色は?(なぜその色がすき?)
好きなたべものは?
好きなたべものは? (誰と、どんな、などお気に入りの乗り方は?)
好きな時間の過ごし方は?
好きな時間の過ごし方は?(もう少し詳しく)
楽しみにしている、今年の今後の予定は?
楽しみにしている、今年の今後の予定は?(どういう経験になりそう?)
今日の経験を通じて、どんな変化を期待している?
今日の経験を通じた変化で期待していることは? (変化が起きたら、どんな気持ちになりそう?)

ワークショップ.事者と家族への関わり方

3-4人のグループをつくって、こんなことを経験してみましょう!

0.きょう、期待していることを添えた自己紹介をしてみましょう!
「自分をうまく話すこと」よりも、
相手の自己紹介のときに相手を歓迎すること「ようこそ!の気持ちを示すこと」に注目しましょう。

  1. 安心できる場をつくるときのこと
    「こういうエ夫があると、自分はより安心できる」があれば、お互いにアイデアを出し合ってみましょう!

2自分が「最近経験した、ちょっと気持ちの(華やいだ・ときめいた)」ときのことを
(1)話してみる。(2)聞いてみる。
(3,4)話す人と聞く人の応答を見て、その応答をみているときの自分の感覚や感想を話してみる

3.自分が「最近経験した、ちょっと気持ちの(落ち込んだ・悩まされた・さびしくなった)」時のことを
(1)話してみる。(2)聞いてみる。
(3,4)話す人と聞く人の応答を見て、その応答をみているときの自分の感覚や感想を話してみる

4.ワークショップを終えそうなタイミングで。自分のなかにある感覚を話してみる
「自分をうまく話すこと」よりも、相手のはなしに相手を歓迎すること「そうだよね。またいつか!を示すこと」に注目しましょう。

気づき・感想など

◉自分が邪険にされるのではないかというのがひきこもり者の不安。あなたに会えて良かったと思われたい。

◉話を聞いたら、意見ではなく感想を言う。

◉解決を求められたら→どうしたらいいですかではなく、相談できる人は他にいますか?

◉感想は相手に伝えると言うよりは、その場に話を置くといった感じ。

◉あなたにあえて良かった=法事の何回忌と同じ。

◉いざこざは、怒りと期待から発生する。

◉よく来てくれたね!がキーワード。

◉家族への理解者が必要。家族に気持ちの余裕が必要。雑談だけで終わっいい。一期一会だからまた会おうというのが理想。

ひきこもりを防ぐ方法

本題から逸れるが、ひきこもり、増加しづづける癌、不登校、不妊、様々な問題に対して、日本では出口ばかりを塞ぐ対処ばかりで、根本的な入り口を塞ぐ対策がほとんど行われていない。そもそも癌にならなければいいし、不登校にならなければいい、ひきこもりにならなければいいのである。何が原因で、その原因を発生させなければ、多くの不幸は未然に防げる事もある。この度のワークショップで、①ひきこもりの原因と、②ひきこもりを発生させない対策を聞けたらと思い参加した。講師の安保先生に単刀直入に答えを聞いたら、「楽しい経験を多く積むこと」だった。ひきこもりを防ぐ→楽しい経験…このロジックを聞く余裕がなかったので、今後先生に詳しく聞いて、ひきこもりを少しでも抑制する活動を行っていきたい。

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